研究課題/領域番号 |
25305012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
五ノ井 透 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (30134365)
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研究分担者 |
矢口 貴志 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (60361440)
松澤 哲宏 千葉大学, 真菌医学研究センター, 技術職員 (40598702)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 真菌 / カビ毒 / アフラトキシン / アスペルギルス / フザリウム / フモニシン / クリプトコッカス / カンジダ |
研究概要 |
ケニア国内各地から集めた主要穀物(トウモトコシ、小麦、コメ等、ヒエ類)について、ナイロビ市のケニア中央研究所(KEMRI)において、免疫抗体法を応用した簡易キットを用いて含有カビ毒素(アフラトキシン、フモニシン、オクラトキシン、デオキシニバレノール)を測定した。その結果、全標本の50~100%においてカビの寄生が観察され、また穀物の30~50%が、何らかのカビ毒に汚染されていた。これらの穀物の一部を確認のため日本に輸入し、免疫カラムで肝癌・食道癌のリスク因子であるアフラトキシンを精製し、HPLCで、アフラトキシンB1, B2, G1, G2それぞれの分子について分析したところ、70%を超える検体が、日本の規制値(1 ng/g)を超えるアフラトキシンを含んでいることが明らかとなった。さらにケニアの主要穀物を汚染するカビ毒・フモニシンやデオキシにバレノールを産生するフザリウム属菌を現地穀物から採取し、100株あまりについて分子系統学的に解析したところ、すべてのフザリウム属菌がフモニシン産生の報告されている菌であった。現在、実際のトキシンの産生能について、解析を勧めている。 また、米国CDCの援助を得てケニア国のキスムに常駐しているカリフォルニア大学サンフランシスコ校所属の医師Mayer博士、KEMRI所属の真菌学者Bii博士と共同で、ケニアのビクトリア湖周辺のエイズ患者について、患者からのクリプトコッカス属菌の採取を試みた。さらに患者の寝室・住居の周辺などにおいて環境中のクリプトコッカス属菌を採取し、感染症原因菌と環境中の菌の因果関係を解明する研究計画を立案し、菌の採集を進めている。 また、中国貴州省、トルコ、オランダの研究者と協力し、クリプトコッカス属真菌の新種を報告した。 さらにインドネシア大学病院の医師・検査技師と共同で、同国エイズ患者のカンジダ症、特に薬剤耐性カンジダ菌について薬剤耐性機構の解析などを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アフリカのケニアのKEMRI(ケニア中央研究所)の研究者、ケニア滞在のサンフランシスコ大学の医者と信頼関係を築き、ケニアでの研究活動の拠点が形成できた。また、中国貴州省、ジャカルタのインドネシア大学病院に勤務する医者や研究者とも研究の協力関係を進めることができ、今後の研究展開の基盤を築いた。
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今後の研究の推進方策 |
ケニアのKEMRI、中国貴州・省貴州大学、インドネシア・インドネシア大学の研究者との連携を保ちながら、各地の医療、食糧事情の改善、生活の質の向上のために貢献し、一方で生物多様性条約を見守りながら、可能な範囲で微生物資源の収集に努力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ケニア国内で、テロおよび強奪などが頻繁に起こり、本年度は、滞在日程を大幅に短縮し、研究計画の一部を繰り延べて次年度に持ち越し、継続するように計画を練り直したため。インドネシアとの研究計画策定が予定より遅れたため。 ケニアへの渡航・滞在費、研究費として使用する。インドネシアから共同研究のために来日する研究者の旅費・滞在費として使用。その他、繰り延べた国際共同研究のための消耗品費などにあてる。
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