研究課題
ケニアのエイズ患者から採集したクリプトコッカス属菌の遺伝子解析を進め、各患者の居住地区は遠く離れているにも拘わらず、同じ遺伝子型を菌がヒトに感染していることを示すことを見いだした。特定の菌が、高い病原性を示すことを示唆され、今後、ヒト病原性と菌型の関連の研究に結び付けたい。またケニア各地の圃場を廻り、黒色アスペルギルス属菌50株を採取し、これらの菌の分子系統解析を行なって、少なくとも5種の新種を見つけた。新種のヒト病原放線菌ノカルジア・シナノエンシスを見つけ報告した。糸状菌アスペルギルス・フミガータスは、ヒトに感染し重篤化することが多く、また治療薬アゾールに対する耐性菌の出現が大きな問題となっている。アゾール耐性の出現機構を解明する目的で、アスペルギルスに共通する転写因子を探索し、新たなZn2-Cys6型転写因子AtrRを見つけた。AtrRは遺伝子欠損株の作製実験等から、cyp51A等エルゴステロール合成遺伝子の転写を制御するほか、ABCトランスポーターcdr1Bの発現も同時に制御していることが解明され、新たな抗菌剤のターゲットとして注目される。また上記と同様な方法を用い、アスペルギルス・フミガータスにおいて、転写因子AtfRが、胞子の休眠状態の制御において中心的な役割を果たしていることを明らかにした。銅イオンは、真菌においても適切な細胞内濃度の調節が必要である。しかし糸状菌における細胞内銅イオン濃度の制御は、理解されていない。アスペルギルス・フミガータスの銅イオン濃度を調節する転写制御因子を探索し、その結果、Afmac1を見いだした。Afmac1欠損株は、成長に遅延が見られるだけでなく、胞子形成の異常や銅イオン・トランスポーター遺伝子の発現抑制が見られた。Afmac1を介した銅イオンの制御が、菌の成長と胞子形成に重要な役割を果たすと結論づけた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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