研究課題/領域番号 |
25305018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 良子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10275498)
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研究分担者 |
菅野 恵美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10431595)
南 優子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60239316)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中国少数民族 / 高血圧 / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
これまでに行った実験室内での自律神経活動および血圧の測定により、日本に留学中のモンゴル族 20 名の平均年齢、出生児体重、現在の身長、体重、BMI は、それぞれ 28.0±0.6 歳、3,332.0±144.4g 、166.0±1.7m 、61.3±2.5kg 、22.1±0.6kg/m2 で、同年齢 の 18 名の日本人学生の測定値と比較して、身長以外の出生時体重、体重、BMI はいずれも高値を示した。さらに、仰臥位で測定した収縮期血圧、拡張期血圧はそれぞれ 113.7±2.8mmHg 、 64.4±1.8mmHg で、拡張期血圧は同年齢の日本人学生より高く、有意差を示した。モンゴル族留学生 20 名を低出生体重、正常出生体重、高出生体重の 3 群に分け、体位変換に伴う心拍数と交感神経活動の変化を比較した。仰臥位から座位への体位変換時、正常出生体重群は有意な心拍数の上昇が認められたが、低出生体重群には有意な増加が認められ なかった。同様に、正常体重群のみ仰臥位から座位への体位変換で交感神経活動の上昇が認められた。また、対象の血液成分値はいずれも基準値範囲内であり、異常は認められなかった。しかし、白血球数(r=-0.49, p<0.05)と血小板数(r=-0.49, p<0.05)は、出生体重が低いほど上昇傾向が認められるなど、モンゴル族の高血圧リスクが高い傾向が認められており、研究最終年度に向けて対象者数の調整などを行い、さらに研究の信頼性を高めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始年には、日本と中国の政治的問題が影響し、現地調査に若干の遅れが出たが、2年目は予定通り現地調査により約800 名の出生体重について概要が確認できた。さらに血圧、栄養調査等の調査も予定通り行えた。国内における実験室内での測定も順調に進行し、中国少数民族のモンゴル族の健康若年者は、日本人の同年齢の対象者と比較して高血圧発症リスクの高いことが予測できるデータを獲得できた。これまで報告のない新しい知見も見いだすことができ、研究をさらに新しい段階に推進できる見通しがついていることから、研究計画は概ね良好に推移していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
少数民族として特に高血圧発症のリスクが高いモンゴル族を中心に、低出生体重との関連性をさらに明らかにできるよう、調査対象数の調整を行い、データの信頼性を高め、国内外に学会、論文により発信していく予定である。さらに低出生体重で高血圧発症リスクが高いモンゴル族に白血球数の増加が認められ、白血球分画にも差が認められる一方、日本人の対象者にはそれほどの変化がなく、この差がどこから生じるかについてさらなる新しい視点での検証が必要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度の中国と日本の政治的な問題の影響を受けて初年度分が計上されたまま研究が進行した。今年度はほぼ予定通りに現地調査が行えたため、初年度の繰越し金に残額が出た。また、データ入力のための謝金を計上したが、研究協力者による入力が予想以上に進み、改めて謝金を支払う必要性がなかったため繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究最終年度になるため、これまでのデータの不足しているモンゴル族の低出生体重の対象者の測定を行う予定であり、中国内モンゴル自治区内での現地調査の回数を1回増やす予定である。現地調査を増やすことにより入力するデータ量が増加することが予測でき謝金の必要性が出る。最終年度であり、論文作成のための査読、掲載料の計上も必要である。
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