研究課題
今年度は4年間にわたる本研究の2年目にあたる。昨年は中国、ミャンマー、バングラデシュとの共同研究を開始し、研究計画を立案、確認したほか、研究に必要な試薬、機材や解析技術の有無についても調査し、各国の共同研究者に研究を着手させ、各国の状況に応じて支援をしてきた。中国ではロタウイルスの検出から遺伝子解析までの実施を現地で行うことが可能であり、我々は技術的および解析に関するアドバイスを主に行ってきた。バングラデシュではロタウイルスの検出のみ現地で実施し、遺伝子解析については核酸検体を我々の研究室に送付させ、日本で遺伝子配列の決定および解析を行っている。ミャンマーでは現地でのロタウイルス検出のみを行わせている。なお当初予定していたインドとマレーシアについては、共同研究者の異動があり、本来の予定通りの研究遂行が困難なため、今年度の活動は休止とした。今年度は中国での研究に大きな進展が見られた。中国では2000年以降、10年以上にわたりG3P[8]ロタウイルスが主流行型として存続している。そこでそれらG3P[8]ロタウイルス株の遺伝学的特徴を解析し、最近12年間わたりどのような遺伝子の変化が起きまた蓄積されてきたかを系統遺伝学的に解析した。2000年12月から2013年3月までの期間、湖北省武漢市の医療機関において散発性下痢症例より検出されたG3P[8]ロタウイルスの中から各年1-4株を選び、計33株を対象とした。解析の結果それらG3P[8]ロタイルス株は、同じ遺伝子群(ヒトロタウイルスWa様)に属し、その中の幾つかの遺伝子分節(主に非構造蛋白遺伝子)においてリアソートメントが起きたことが示唆された。それによりロタウイルス遺伝子分節は同じ遺伝子群でありつつも常に変異を繰り返している状況が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
今年度は中国からの成果が論文発表された。ミャンマー、バングラデシュでの調査は予定どおり進められている。
バングラデシュからは多数の検体が得られており、全遺伝子解析も進んでいる。今年度中にバングラデシュのロタウイルスの遺伝子解析を完了する。中国においては、非定型的な遺伝子型G4P[6]ロタウイルスの全遺伝子解析を行い、その遺伝子学的由来について解析する。
今年度は1月に前倒し請求をして研究費を使用したが、それにより必要な経費を支出し、その結果少額の残余が出たため。
来年度の研究費と合わせ、試薬の購入に用いる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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