研究課題/領域番号 |
25305022
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
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研究分担者 |
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10363699)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80396308)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ロタウイルス / 遺伝子型 / 分子疫学 / 中国 / バングラデシュ |
研究実績の概要 |
今年度は4年間にわたる本研究の第3年目にあたる。今年度の主な研究成果は中国におけるG4およびP[6]ヒトロタウイルスと、バングラデシュにおけるG2P[4]ヒトロタウイルスの全遺伝子配列に基づく分子疫学的解析である。中国では前年度、主流行型であるG3P[8]ロタウイルスの研究を行ったが、今回解析を行ったのはG3P[6]1株、G4P[6]2株、G4P[8]1株であった。これらは2006~2013年の期間、湖北省武漢市において検出されたものであり、本研究地において検出されたロタウイルスの遺伝子型としては稀なものである。それら稀な型のロタウイルスと主流行型株との関連、または動物ロタウイルスとの関連を調べるため、これらの全遺伝子配列を決定、解析し、既知のロタウイルス遺伝子と合わせて系統解析を行った。その結果、4株のVP7、VP4遺伝子以外の全遺伝子分節はWa様遺伝子群に属していた(G4P[6]株のNSP1遺伝子を除く)が、多くの遺伝子分節がブタロタウイルスに近縁であることが判明した。結果として、G4P[6]ロタウイルスの1株はブタロタウイルスがヒトへ直接伝播したものであり、他の3株はヒトとブタのロタウイルスの間で形成された遺伝子再集合体であると考えられた。バングラデシュでは2010、2013年に検出された計17株のG2P[4]ヒトロタウイルスについて全遺伝子配列を解析した。1株の遺伝子群間リアソータントを除くすべてがDS-1様遺伝子群に属していた。これらの株の各遺伝子分節はいずれも高い遺伝子配列の一致率を示したが、系統解析では9の遺伝子配座を含む5つのクレードに分けられ、2010年と2013年を比べると、遺伝子配列の系統が全遺伝子分節にわたり異なっていることが明らかとなった。これにより、主流行株の遺伝子分節が継時的に全体的に変化している様態が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国、バングラデシュにおけるロタウイルスの全遺伝子配列解析は、ほぼ予定通り進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
中国、バングラデシュにおけるロタウイルスの全遺伝子配列解析を継続する。中国では、新興型であり近年増加しているG9P[8]株を解析し、バングラデシュではG2P[4]ロタウイルスに加え、B群ロタウイルスの全遺伝子も解析する。昨年度のG2P[4]ロタウイルスの研究成果を、平成28年度中に国際誌において論文発表する。また遺伝子解析にまだ至っていないミャンマーのロタウイルスについても研究機関内に一定の成果を得ることができるように努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りに研究費を使用したが、割引価格の消耗品を購入するなどしたため、少額の残余が生じた、
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の研究費と合わせ、物品費として試薬の購入に使用する。
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