研究課題
B群ロタウイルス(RVB)は成人および小児における下痢症の稀な原因として知られ、中国、インド、バングラデシュ等、アジア5ヵ国で検出されている。ヒトRVBは遺伝子学的に単一で、中国とインドの2系統があることがわかっているが、遺伝学的多様性は殆どないとされている。我々はバングラデシュにおけるA群ロタウイルス(RVA)の疫学研究の中でRVBの小流行に遭遇し、異なる2種のRNAパターン(E1、E2)を示す14株を検出したのでそれらの遺伝子系統解析を行った。RVB株の全遺伝子分節はインドの系統に属していたが、8つの分節は2つの亜系統に分けられた。E2のRVBはインドに広く分布するRVBと同じ系統であった。E1のRVBは、8遺伝子が2000年以来バングラデシュで主流であったBang117株と同じ系統であったが、3遺伝子のみE2と同じ系統に属していた。このことから、E1の株は元々バングラデシュで主流であったRVBとインドで優勢なRVBとの間で形成されたリアソータントであると考えられた。以上より、ヒトRVBにおいてもRVAと同様に遺伝子交雑が自然界で起きていることが示唆された。G9P[8]RVAは近年中国で増加しており、武漢市では2011-2016年、小児に検出されたRVAの72%を占めていた。本研究では65株のG9P[8]株を選び、全遺伝子配列の決定と系統解析を行った。それら全株がWa様遺伝子群に属していたが、9遺伝子分節で2つの系統が区別された。そのうちG9を規定するVP7遺伝子は、G9の世界的流行株とは異なり、中国のブタロタウイルスに近いことが判明した。VP7以外の遺伝子分節は以前優勢であったG3P[8]RVAに近いことから、現在のG9P[8] RVAは、従来優勢であったG3株と中国のブタG9 RVAとの間で起きた遺伝子交雑により形成され、ヒト集団で拡がったことが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Infection Genetics and Evolution
巻: 47 ページ: 77-86
10.1016/j.meegid.2016.11.001
巻: 41 ページ: 63-72
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Heliyon
巻: 2 ページ: e00168
10.1016/j.heliyon.2016.e00168