研究課題/領域番号 |
25305023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
塚原 高広 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90328378)
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研究分担者 |
美田 敏宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80318013)
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (50422457)
菅原 琢磨 法政大学, 経済学部, 教授 (50364659)
近藤 尚己 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20345705)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会医学 / 衛生 / 経済政策 / 感染症 / 行動学 |
研究概要 |
治療可能な急性感染症は開発途上国小児の主要な死亡原因となっており、早期有効治療を可能にする医療サービス提供および住民側の利用度向上が対策の根幹である。近年国際機関の協力の下に、開発途上国の一般住民に短期研修を行いヘルスボランティアの養成プログラムが進められている。これは、コモンな急性感染症に限って診断治療を許可するものであり、医療アクセスの改善を通じて早期有効治療を目指したものである。 これらの医療サービスの利用度向上のためには、住民の治療選択行動の理解が不可欠であり、医療サービスを利用する住民の行動を医療サービス需要と捉えた離散選択モデル による経済学的分析が有効である。また、患者の治療選択行動には、個人特性のみならず地域特性が関与していると考えられ、社会疫学分野で用いられるマルチレベル分析を併用することでより正確な要因分析が可能となる。本研究の目的は、開発途上国のコホート集団を対象として実証 データを収集し、疫学と経済学の手法を併せて用いることで住民の治療選択行動さらには早期有効治療、疾病の有無に影響を与える因子を解明し、効果的な政策提言を行うことである。 パプアニューギニアの調査地区では、主要な医療サービスの選択肢として、ヘルスセンター、エイドポスト、ヘルスボランティアがあることがわかっている。これまでに得られた発熱時の医療サービス選択の個票データを用いて推計を行った結果、multinomial logit/probit model、multilevel modelが比較的妥当なモデルと考えられた。また、次年度以降に実証データ収集を予定しており、それに用いる質問票の開発が必要である。本年度は、従来研究で用いられている変数を調べるために文献収集および検索を行った。また、調査地区の医療サービスの現況を把握するために予備調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年7月でマラリア疫学調査に関するパプアニューギニア保健省による倫理審査承認が失効したため、研究に使用するデータ収集を行うことができなかった。従って、本年度の調査は予備的な視察にとどめざるをえなかった。今後はマラリアだけでなく、呼吸器感染症、下痢症についても調査を進めるため、調査許可の更新ではなく新たに申請を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度の前半には、パプアニューギニアでの調査許可および倫理審査承認をめざす。研究協力者の所属するディバインワード大学に倫理審査委員会が設立されたため、申請書を提出し現在審査中である。大学で承認が得られた後、パプアニューギニア保健省の倫理審査委員会に提出する予定である。 昨年度に収集した資料に基づき、質問票を開発する。開発した質問票は、現地の研究協力者と検討を行い内容妥当性を高める。 調査許可および倫理審査承認後、質問票の表面妥当性を検討するために予備的調査を行う。さらに、広範なコミュニティでの人口動態調査を行う対象世帯を絞り込む。年度の後半に質問票調査を実施して実証データを収集する。また、医療施設での調査を同時に行い、診療記録から疾病情報を収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、2014年2-3月にパプアニューギニアで海外調査を予定していたが、当該国の調査許可および倫理審査承認が2013年7月に失効しており、年度内に更新することができなかった。そのため、予定していた調査を中止した。 2014年度後半に海外調査を予定しており、次年度使用額はそれに全額使用する。海外調査の経費の見積もりを行ったところ、次年度使用額だけでは不足するため、今年度に請求した研究費と合わせて使用する。
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