研究課題/領域番号 |
25305024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40198461)
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研究分担者 |
森河 裕子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20210156)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ダイオキシン / 脳発達 / 母乳 / 臍帯血 / 脳由来神経栄養因子 / 性ホルモン / 脳神経発達 / ベトナム |
研究概要 |
ダイオキシン暴露と小児発達障害の関連性を明らかにすることを目的として、ベトナムの高濃度汚染地域に居住する母親の出生児の胎児期および出生後の脳神経発達へのダイオキシン暴露の影響を明らかにすることを目的として、ベトナム共和国ビエンホア市の元米軍基地周辺10地区に居住する母親の出生児226名を対象として新生児調査および6カ月までの追跡調査を行った。生後1か月時点では母乳を採取し、母乳中ダイオキシンを測定した。母乳中の総ダイオキシン等価指数は非汚染地域に比べ2倍高かったが、ダナン市汚染地域に比べると低かった。しかし、2,3,7,8-四塩化ダイオキシン(TCDD)の占める割合は、非汚染地域やダナン市汚染地域が15%前後であるのに対して28%と高く、この傾向は初産婦、経産婦共に同様であった。なお、dl-PCBについては、非汚染地域に比べ、初産婦では低く、経産婦では差がなかった。また、臍帯および臍帯血中ダイオキシンの測定方法を確立し、臍帯全血20mlを用いたダイオキシン測定結果が、母乳と最もよく相関していることを確認し、胎児暴露の指標とすることとし、測定方法を確立した。出生児の身体測定値については、体重と身長はダナン市のコホートと同じレベルであったが、頭囲や腹囲は大きい傾向にあった。また、臍帯血中脳由来神経栄養因子については初産婦で血清の採取できた70名について測定して、在胎週数および出生時頭囲と逆相関があることを見出した。TSH、エストラジオール、テストステロンも初産婦のみにつき、臍帯血血清を用いて測定し、テストステロンと総ダイオキシン毒性指数およびTCDDとの間に負の相関があることが明らかとなった。さらに、生後6か月になった時点で、Bayley IIIを用いて、児の脳神経発達について調査を行い、現在標準化スコアの算出を行った。脳波については、今年度は測定手技の確立を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダイオキシンの測定に関しては、汚染地域母乳100検体について、ダイオキシンおよびdl-PCBの異性体について測定する予定であったが、今年度で、200検体以上の測定を終え、臍帯血についても予備調査を終え、方法を確立しており、予想以上の成果が得られている。また、臍帯血血清中の脳由来神経栄養因子やホルモンについての測定や脳神経発達検査も順調である。しかし、脳波測定については、測定手技の確立が遅れており、新生児の測定には至っていない。また、対照地域についても調査が始まっていない。これらのことから、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
対照地域について、ハノイ市に居住する母親から生まれた150名の新生児について、臍帯血血清、臍帯を採取し、児の身体測定を行う。生後2-3日に新生児脳波の測定を行う。また、1ヶ月児調査として、保健ステーションの助産師による、児の身体測定、母乳の採取を行う。また、6か月時に、汚染地域の児の脳神経発達をBalyley IIを用いて検査する。 なお、臍帯血血清中脳由来神経栄養因子や甲状腺ホルモン、エストラジオール、テストステロンを測定し、非汚染地域母乳検体について、ダイオキシンおよびdl-PCBの異性体について測定する。また、汚染地域の臍帯血については、採取量の多い50検体について分析を行う。
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