研究課題
[野村]2018年度は、2004年にスマトラ沖地震津波被害を受けた時と同じ時期に調査を行った。津波被災から14年が経過しているが、人びとは「津波の記憶を忘れていない」と、現在でも被災地で津波犠牲者を追悼する式典や催しを行っていた。追悼式典は国や県が行うのではなく、地域住民の若い世代が主体的に小規模で行っている様子で、高齢者の姿をみることはできなかった。さらに津波被災のほぼ同時刻に被災地域を訪問すると、住民が通常と変わらない生活を送っており“津波”が日常的に思い出されることはほとんどない。それは、調査滞在中に偶然、スマトラ沖とミンダナオ島沖で地震が起こったが、この地震によって、津波に向けた対策に動くことはなかったことからも推察できる。津波被災のことは現在でも時おり語られることはあるものの、津波によって現在の生活や認知症がどのように変容したのかについて語られることは年々減っている。これまでの調査結果を踏まえ、経年的な被災地の変化について考察した。[池田]東日本大震災津波被害後の宗教者の取材をおこなった新聞記者に聞き取りをおこない、津波被害のトラウマから回復とレジリエント現象に宗教が果たす影響について考察した。中国深センでのハーバード=中山大学の医療人文学セミナーでの招待講演者としてヘルス・プロモーションの文化的基盤について講演した。津波被害のトラウマの影響を文化人類学的に考察するために、移住者と難民へのメンタルヘルスに関する精神医学的考察をおこなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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