研究課題/領域番号 |
25305029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀尾 勝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20273633)
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研究分担者 |
安田 宜成 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60432259)
高原 史郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70179547)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | GFR推算式 / アジア人 / シスタチンC / 腎移植ドナー / 国際研究者交流(インド) / 国際情報交換(韓国、タイ、シンガポール、台湾) |
研究概要 |
1)インドでの共同研究の開始: アジア系人種において腎機能評価に重要なGFR推算式の有効性を検証するため、インドGeorge Instituteの研究協力者と共同研究を開始した。インドの研究協力者が医師主導型治験の申請を行い、承認され、インドでイヌリンクリアランス実測が可能となった。研究協力者および研究協力者施設の研究員を日本の分担研究者施設(名古屋大学)に招聘し、イヌリンクリアランス測定の実際の方法を教授するとともに、今後の研究内容について意見交換を行った。今後、ベジタリアン、非ベジタリアンでのGFR推算式の有効性を検証する予定である。 2)韓国、台湾との共同研究: 韓国との共同研究はYonsei大学、Souel大学の研究協力者と実施しているが、イヌリンクリアランス測定結果を解析し、共同で論文を作成中である(投稿中)。韓国、台湾の症例で実施されたイヌリンクリアランス測定サンプルを用い、血清シスタチンCを測定することにより、シスタチンCによるGFR推算式の有用性を検討した。 3)腎移植ドナー候補者の腎機能: 腎移植ドナー候補者のイヌリンクリアランスとGFR推算式の関係は分担研究者を中心に解析を行い、シスタチンC由来の推算式がクレアチニン由来の推算式よりバイアスが少ないことを示した。研究結果を第13回アジア移植学会議で発表し、論文(Transplant Proc. 46: 314-317, 2014)として報告した。 4)GFR推算式の正確度に影響する要因の解析: グリコアルブミンなど、高血糖が血清Cr、シスタチンCによりGFR推算式の正確度に影響するとの報告を受け、グリコアルブミンについて、GFR推算式への影響を検討した。血清クレアチニン由来のGFR推算値に刃若干の影響があるが、シスタチンC由来の推算式に関しては影響が少ないことを示し、今後、論文として報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)インドでの共同研究の開始: インドのGeorge Instituteの研究協力者と共同研究を開始しており、海外の研究協力者との研究実施は順調に推移している。インドの研究協力者は医師主導型治験の申請を行い、承認され、インドでのイヌリンクリアランス実測が可能となった。研究協力者および研究協力者施設の研究員を日本の分担研究者施設(名古屋大学)に招聘し、イヌリンクリアランス測定の実際の方法を教授するなど、実地の研究支援の面でも十分な実績が上がっている。 2)韓国との共同研究: Yonsei大学、Souel大学の研究協力者とイヌリンクリアランス測定結果を解析し、共同で論文を作成中である(投稿中)。共同研究は順調に推移している。 3)腎移植ドナー候補者: クレアチニン由来の推算式による推算GFR(eGFRcreat)、シスタチンC由来の推算式による推算GFR(eGFRcys)の比較を行い、シスタチンC由来の推算式がクレアチニン由来の推算式よりバイアスが少ないことを示した。結果は第13回アジア移植学会議での発表、論文(Transplant Proc. 46: 314-317, 2014)として報告しており、成果は上がっている。 4)GFR推算式の正確度に影響する要因の解析: グリコアルブミンについて、GFR推算式への影響を検討し、血清クレアチニン由来のGFR推算値に刃若干の影響があるが、シスタチンC由来の推算式に関しては影響が少ないことを示した。この結果はGFR推算式全体に影響する内容を含んでおり、重要な成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
1)インドではイヌリンクリアランス測定を継続し、サンプルが集まった段階で、凍結血清、尿サンプルを日本に輸送し、イヌリン、血清クレアチニン、血清シスタチンCを測定する。これより、インド人におけるGFR推算式の妥当性を検証することができる。調査対象をベジタリアンと非ベジタリアンで区分することで両群のGFR推算式の有効性を比較する。また、腎移植候補者の腎機能測定を行うことにより。健常者におけるGFR推算式の妥当性を検証する。 2)韓国、台湾、タイではGFR実測データを収集し、結果の解析からアジア人のGFR推算式作成を試みる。韓国、台湾、タイで腎移植ドナー候補者の腎機能測定値を収集し、データの解析を行う。健常者(腎移植ドナー候補者)と疾患群の相違などを比較を行う。 3)シンガポールの研究協力者とは医師主導型治験が実施できるよう援助する。実施可能となれば、シンガポールのマレー系、インド系人種の腎機能測定により、GFR推算式のアジアでの人種差が明らかになると期待される。 4)GFR推算式の正確度の解析: 得られたデータを年齢別、GFR別、人種別に解析し、GFR推算式の各人種、年齢、腎機能における妥当性を検討する。 5)クレアチニン由来のGFR推算式とシスタチンC由来のGFR推算式の比較: 推算式の正確度について、人種間の相違、健常者(腎移植ドナー候補者)と疾患群の相違などを比較検討する。バイアス、正確度を比較することで、より正確な推算式の選択、また新しいアジア人のGFR推算式作成が可能となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を論文として投稿したが、論文掲載料が必要な雑誌もあり、その財源を確保したため次年度使用額が生じた。 学会での研究成果の発表、論文による研究成果の報告に必要な旅費、論文掲載料等として使用する予定である。
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