研究課題
味覚障害は高齢者においてよく見られ、食欲不振、不適切な栄養摂取、栄養失調およびQOLの低下を惹起する。しかし味覚障害の原因は多岐にわたり、不明な点も少なくない。最近、食生活が味覚障害を惹起することが報告された。本研究では大量の調味料を用いたスパイスや強い味をこのむタイ人と日本人の健常者の味覚閾値を比較検討することにより、食生活が味覚閾値に及ぼす影響について明らかにすることを目的として研究をおこなった。方法として 日本人とタイ人の認知味覚閾値について有意差検定を行った。すなわち、濾紙ディスク検査により5基本味(塩味、酸味、苦味、甘味、うま味)の味覚閾値、食事嗜好性、年齢、性差、全身疾患、投薬、喫煙、口腔乾燥および口腔清掃状態について統計学的に検討した。その結果、年齢、性差、全身疾患、投薬、喫煙、口腔乾燥および口腔清掃状態について二群間に有意差はみられなかったが、タイ人は5基本味(甘味、塩味、苦味、酸味、うま味)全てにおいて日本人よりも認知閾値が高く、その背景因子として辛いものを好んで食べるタイの食生活が大きく関係している事が明らかとなった。この結果は食生活が味覚に変化をもたらすことを世界で始めて示す重要で学術的価値が高い知見である。本年度は、この結果を論文化し(Title; Differences in Taste Perception and Spicy Preference: a Thai - Japanese Cross-cultural Study)、H29年2月22日、Chemical Senses誌に投稿した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Curr Pharm Des.
巻: 22 ページ: 2238-44