研究課題
平成26年度は,サーバ割当問題において,経路指定がないモデルについて,グラフ構造の観点から詳細な解析を行った.特に,このモデルにおいて,配信経路を効率よく策定するアルゴリズムを開発した.まず,ユーザの要求が限定的であれば,グラフのフロー問題に帰着でき,したがって一般のグラフに対して多項式時間で解けることを示した.一方で,ユーザの要求に制限がない場合には,たった1つの閉路を含むグラフに対してさえ,この問題はNP困難であり,多項式時間アルゴリズムは存在しそうにないことを証明した.そこで本研究では,閉路を1つしか持たないグラフに着目し,2つのアルゴリズムを開発した.一つはユーザ数をパラメータとした固定パラメータアルゴリズムであり,もう一つは閉路上の辺容量の最大値に関する擬多項式時間アルゴリズムである.これらはともに多項式時間アルゴリズムではないが,入力グラフのサイズに応じて,それぞれ計算時間に利点を持つ.また,これらのアルゴリズムは,閉路の個数が定数であれば,カクタスと呼ばれるグラフに拡張できることも示した.また平成26年度には,これまでの研究で得られた知見を基に,グラフの脆弱性最小化問題に関しても研究を行った.この問題は,辺コストフロー最小化問題や辺素パス問題,共通辺最小化問題などの一般化である.本研究では,しきい値グラフや直並列二部グラフに対してさえ,脆弱性最小化問題がNP困難であることを示した.一方で,木幅制限グラフに対しては擬多項式時間で解けることを示し,弦グラフに対しては経路の本数をパラメータとした固定パラメータアルゴリズムを開発することができた.
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は経路指定があるモデルに関して研究を行い,平成26年度は経路指定がないモデルに関して研究を行うことができた.これにより,モデル設定の相互関係についても,解析を進めることができるようになった.
平成26年度にはグラフの脆弱性最小化問題も扱ったが,これはサーバ割当問題に対するアルゴリズム開発へ新しい知見を与えてくれている.特に,脆弱性最小化問題においては,木幅制限グラフだけでなく,弦グラフという異なる構造を持つグラフに対してもアルゴリズムが開発できている.これらの新しいアルゴリズム手法をサーバ割当問題にフィードバックし,「木」に構造が近いグラフだけでなく,より様々な構造を持つグラフに対しても,アルゴリズム開発を進めていきたい.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 謝辞記載あり 15件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)
IEICE Trans. on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Theoretical Computer Science
10.1016/j.tcs.2015.01.052
Lecture Notes in Computer Science
Interdisciplinary Information Sciences
巻: 21 ページ: 25-35
10.4036/iis.2015.25
巻: 550 ページ: 21-35
10.1016/j.tcs.2014.07.008
巻: 544 ページ: 14-31
10.1016/j.tcs.2014.04.014
巻: 544 ページ: 84-97
10.1016/j.tcs.2014.04.011
巻: 8881 ページ: 299-313
10.1007/978-3-319-12691-3_23
巻: 8881 ページ: 314-328
10.1007/978-3-319-12691-3_24
巻: 8889 ページ: 195-207
10.1007/978-3-319-13075-0_16
巻: 8889 ページ: 208-219
10.1007/978-3-319-13075-0_17
巻: 8889 ページ: 389-400
10.1007/978-3-319-13075-0_31