研究課題
平成27年度は,サーバ割当問題において,複数のサーバから1つのユーザへ配信することが許され,サーバからユーザへの配信経路には事前の指定がないモデルを扱った.このようなモデル上で,配信経路を効率よく策定するアルゴリズムと計算困難性を詳細に解析した.昨年度までの研究で,この問題はグラフ中に閉路がたった1つしかないユニサイクルと呼ばれるグラフに対してさえNP困難であることを示している.本年度は,この成果を発展させ,グラフが閉路そのものであったとしても(すなわち閉路以外の点や辺がない),サーバが1個しかなければNP困難であることを証明した.その一方で,閉路にサーバが2個以上含まれる場合には,問題が多項式時間で解けることを示した.このようにサーバの個数の観点から,問題の計算困難性と容易性の境界を与えることに成功した.また,サーバの個数が増えることによって問題が容易になったことは興味深い結果である.なお,グラフ中に閉路が1つもない木と呼ばれるグラフに対しては,本問題は多項式時間で解けるため,この点でも計算困難性と容易性の境界を与えている.また,ネットワークをモデル化したグラフの様々な問題に対しても,本課題で得られた知見を基に研究を行った.昨年度に引き続き,グラフの脆弱性最小化問題に関しては,アルゴリズムの計算時間と証明の詳細化を行った.さらに,ネットワーク上での情報拡散をモデル化した問題も扱い,グラフ構造の観点から解析を行っている.特に,線状森に対しては動的計画法に基づいた擬多項式時間アルゴリズムを与えている.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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