研究課題/領域番号 |
25330009
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
富田 悦次 電気通信大学, その他部局等, 名誉教授 (40016598)
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研究分担者 |
若月 光夫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (30251705)
西野 哲朗 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (10198484)
伊藤 大雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50283487)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 最大クリーク / 極大クリーク / 分枝限定法 / 近似解 / 計算機実験 / 多項式時間的可解性 / 疑似クリーク / 列挙 |
研究実績の概要 |
最大クリークを抽出するための深さ優先探索分枝限定アルゴリズムにおいて,節点の探索順序を適切に設定し,かつ,分枝限定強化のために近似彩色を活用する方法をこれまでに開発し,更に,最初に良い近似解を求めておくことが有効であることを,これまでの研究において確立してきた.しかし,これらの処理のためにはオーバーヘッドを要し,それに要する時間とそれによる効果との兼ね合いを適切に設定することは難しい問題であった.特に,近似解の精度は後の本処理に要する時間に大きい影響を与える.そこで,近似解を効率良く求めるために,概念的には並列処理に相当する手法を導入し,処理時間の増大は出来るだけ抑えながら解精度を改善することを達成した.また,このような前処理を適用する探索領域の制御をより適切に設定した.これにより,最大クリーク抽出アルゴリズムを一層高効率化した. また,一般的には指数関数的に計算時間が増大すると考えられている最大クリーク抽出問題において,グラフ中の節点の最大次数に制限を設けることにより多項式時間的に解を得られることを示し,更に,それを拡張して,隣接節点対の次数が小さい方だけの制限へと条件を緩和出来ることを示してきた.ただし,そうすると多項式時間的可解性の多項式のべき乗が大きくなってしまう弱点を持っていた.そこで更に巧妙な処理アルゴリズムを加えることにより,多項式のべき乗を大きくすることなく前記の拡張を可能とする改良に成功した. 実際の応用に際しては,厳密なクリークでは条件が厳し過ぎる場合が多々起こり得る.そこで,クリーク中に多少の枝の欠損も許した疑似クリークも対象として,それを効率良く列挙するアルゴリズムを提唱し,実利用に対して一層の有効化を図った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大クリーク抽出アルゴリズムを,実働上において期待どおり着実に効率化出来た.最大クリーク抽出の多項式時間的可解性条件をより実用的に有効なものとした.疑似クリーク列挙についても効率化が達成された.
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今後の研究の推進方策 |
最大クリーク抽出アルゴリズムにおいて,近似アルゴリズムおよび節点の探索順序の改善を主として,実働上効率化を一層進展させる.最大クリーク抽出の多項式時間的可解性についても,一段と柔軟でかつ効率の良い条件およびアルゴリズムの開発を進展させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の最後の取りまとめ段階において,今後更に大きい進展を図ることの見通しが得られた.従って,そのために平成28年度使用研究費を極力次年度いっぱい継続用に残した.
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次年度使用額の使用計画 |
前記の進展を平成29年度中に十分達成するための費用に充てる.
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