離散事象システムの故障診断ではシステムモデルに基づいた「モデルベース故障診断法」が一般的であるが,状態空間爆発のため大規模な並行システムには適用が困難である.本研究では,モデルを用いない新しい故障診断法であるモデルレス故障診断法を開発した.提案法は,システムから出力される正常時および様々な状況下のイベントログからシステムのふるまいを近似的に表現した確率的挙動モデルを求める学習フェーズと,イベント列の特徴量を正常時の確率的挙動モデルと比較して計算し,それを用いて故障発生を推定する診断フェーズから構成される.シミュレーションモデルおよび実データを用いて提案手法の有効性を検証した.
|