研究実績の概要 |
1.拡張シェルピンスキーグラフと一般化シェルピンスキーグラフを共に含むより広いグラフ族として,普遍化シェルピンスキーグラフΥ(G,n)を新たに導入し,Υ(G,n)がΥ(G,n-1)の各頂点をGあるいはGの部分グラフで置換えて構成可能であることを示した.また,普遍化シェルピンスキーグラフの様々な構造的性質(連結度,ハミルトン特性,各種彩色,因子分解,辺素因子)に関する結果を証明した.特に,均一グラフを基にした普遍化シェルピンスキーグラフは因子分解に関してよい性質をもつことから,超並列計算機の相互結合網の候補になり得ると考えられる.また,普遍化シェルピンスキーグラフでは,自己相似性をもつが一様でないフィボナッチ木も生成でき,理論的に興味深いグラフ族と考えている. 2.グラフの支配集合の変種として外連結支配集合という概念があり,ネットワークにおけるサーバー割当問題への応用をもっている.ネットワークの耐故障性を動機としてこの概念を連結度の観点から一般化した,(h,l)-連結支配集合の概念を導入し,Gのn-反復細分線グラフの(h,l)-連結支配集合の最小濃度を決定するためのGに関する十分条件を与えた.反復細分線グラフのグラフ族はシェルピンスキーグラフと拡張シェルピンスキーグラフを(本質的に)含んでおり,本結果を適用することによりこれらのグラフの外連結支配集合の最小濃度に関する既知結果を一般化した結果を系として得ることができた. 3.シェルピンスキーグラフの拡張である単射的グラフ展開の基グラフとして冪グラフを想定し、冪グラフにおける完全独立全域木について考察した.具体的には、木,輪,単輪グラフ等の疎グラフGを対象にそのk乗における完全独立全域木の最大数の下界を与えた.特に、単輪グラフに関する結果は、既知の2連結グラフに関する結果を強化したものになっている.
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