研究課題/領域番号 |
25330022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久野 誉人 筑波大学, システム情報系, 教授 (00205113)
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研究分担者 |
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数理計画法 / 非線形最適化 / 大域的最適化 / 最適化アルゴリズム / 分枝限定法 |
研究概要 |
微分フリー局所最適化アルゴリズムをサブルーチンとして用いる大域的最適化アルゴリズムを実装し,凸最大化問題の大域的最適解を効率的に求めるため,そのアルゴリズムの骨格となる分枝限定法の設計を行った.この非線形最適化問題のための分枝限定法は単体的アルゴリズムと呼ばれ,問題の実行可能領域を単体で覆い,これを細分しながら,各部分単体と実行可能領域との積集合上で目的関数の上界値を局所最適化アルゴリズムで求めて,それが暫定解よりも劣るものであれば部分単体を考察の対象から除去する.これを繰り返して大域的最適解への収束をはかる方法であり,単体分割には局所最適化アルゴリズムの出力を用いると効率のよいことが1970年代から経験的に知られている.しかし,そうした単体分割規則を用いた場合のアルゴリズムの収束性は未だ十分に解明されているとは言いがたかった.そこで,初期単体上で目的関数がリプシッツ連続であることに着目し,そのリプシッツ定数を利用して上界値の計算に工夫を加えることでアルゴリズムの収束性を保証することに成功した.さらに,局所最適化アルゴリズムの出力をそのまま単体分割に用いたときに部分単体の数が増えすぎる欠点には,事前に分割数を指定できる新たな分割規則を構築することで対処した.計算実験ではアルゴリズムの収束性に問題が生じないこと,既存の分割規則を用いるよりも計算時間が短縮されることなどが確認できている.現在,この分割規則をもちいたアルゴリズムの収束性の理論的な証明に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度は,大域的最適化アルゴリズムのサブルーチンとして用いる局所最適化アルゴリズムを先に設計し,これを利用して凸最大化問題を処理するヒューリスティクスを作成する予定であったが,26年度に実施予定であった大域的最適化アルゴリズムの構築を先に実施したため,微分フリー局所最適化アルゴリズムの研究としてはやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
微分フリー局所最適化アルゴリズムの設計はやや遅れ気味であるが,研究の最終目標は複数の局所最適解から大域的に最適な解を効率的に見つけ出すことにあり,したがって25年度に実施したような大域的最適化アルゴリズムの研究には今後も取り組んで行く予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
26年度に実施予定だった大域的最適化アルゴリズムの設計を25年度に実施し,予定していた微分フリー局所最適化アルゴリズムやそれを利用したヒューリスティクスの研究がやや遅れている.これらは,アルゴリズムの性能評価を計算実験でしか行えないが,研究の遅延に伴って実験に必要な機材の購入なども控えたため,結果的に使用額が計画よりも少なくなった. 微分フリー局所最適化アルゴリズムとそれを利用したヒューリスティクスや,25年度に設計した大域的最適化アルゴリズムの実装と計算実験を行う予定であり,当初予定していたよりも多くの実験機材やデータ入力のための謝金が必要となるため,それらの購入に翌年分として請求した助成金と合わせて使用する.
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