研究課題
本研究は、グラフ構造を有する集合被覆問題に対し,グラフの性質を利用してアルゴリズムの改善を図り、多方面から集合被覆問題の本質に迫ることを目的としている。具体的に,与えられたグラフGにおいて,距離k以内の節点を支配範囲と定義したときに,全節点を支配するために必要最小限の支配点集合の計算を考える.k=1の時は,線形時間で近似比log(n)の欲張り法が知られています.ただしnは節点数を表す.一方k≧2の時には,近似比log(n)の欲張り法が存在するが,計算量は O(mn) である.ただしmは枝数を表す.本研究は大規模な問題を念頭に,グラフの性質をによって改善可能の発想に基き,いくつかのグラフ族に対して線形時間アルゴリズムの設計を考えてきた.昨年度までは,線形時間のアルゴリズムを開発し実験によって性能を確認した (2013).このアルゴリズムは,ソーシャルネットワーク(social network) に対しては O(1) 近似であることを示した (2014).また,それを応用してソーシャルネットワークにおける独裁度と民主度の指標を提案した (2015年度).一方,極大外平面グラフ (maximal outerplanar graph) と k=2 の場合に対しては,既知の方法とまったく別のアプローチで線形時間のアルゴリズムを設計し,ある妥当な定義のもとで最善解を見つけられることを示した.今年度は,極大外平面グラフ (maximal outerplanar graph) と k=3 の場合の証明をまとめた.概要版は国際学会,フールペーパーはジャーナルにそれぞれ採択された.また,本研究の成果を用いて,「一票の格差」問題に対する斬新な理論を国内研究会で提案し,現在フールペーパー執筆中である.最後に,避難所の設置問題に応用し関連成果を国際学会で発表した.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Information Processing
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Proc. 5th Operations Research and Statistics
巻: 1 ページ: 171-174