研究課題
本研究課題では,水産資源に対する管理ストラテジーとエコロジカルリスク評価について統計学的視点からアプローチしている.特に,資源評価に用いる資源動態モデルとそれに対する統計的推測法,不確実性を考慮した資源回復計画やリスクの客観的評価方法,そして実際の資源への適用,について取り組むことを目的としている.この目的のために,平成25年度は主に海棲哺乳類を想定した資源動態を題材に,種々の統計的モデリングについて研究を行った.また,平成26年度はこれらの成果を基に,継続的に方法論について検討するとともに,海棲哺乳類の実データへの適用を行い,管理ストラテジーとリスクの予備的な評価を行った.そこで最終年となる平成27年度は,これらの総合的な考察と実データへの本格的な適用を実施した.具体的には,平成26年度に例として取り扱った北海道トド資源について,資源動態のベースとなるオペレーティングモデルをAge-aggregated production model (AAPM)からAge-structured production model (ASPM)へと拡張を行い資源の将来予測を行った.またこの成果と計算リソースを基に,北海道ゼニガタアザラシ資源についてもAAPMおよびASPM両モデルについて資源動態を推測するとともに,資源枯渇リスクと漁業被害軽減効果のバランスのとれた資源管理ストラテジーを提案するフレームワークを構築した.さらに,国際捕鯨委員会が開発した改訂管理方式の改良についても,資源管理ストラテジーとリスク評価のフレームワークから再検討し,生態系変動の下では従来の改訂管理方式の性能を上回る管理方式の開発が可能となった.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
ICES Journal of Marine Science
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10.1093/icesjms/fsv212
THERYA
巻: 6 ページ: 283-296
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