研究課題/領域番号 |
25330037
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原 尚幸 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40312988)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | グラフィカルモデル / 因子分析モデル / 識別可能性 |
研究実績の概要 |
ガウシアン因子分析モデルにおいて、観測可能な変数にグラフィカルな構造を許したモデルをスターグラフモデルという。本研究では、潜在変数が1つの場合のスターグラフモデルの識別可能性について議論を行った。古典的な因子分析モデルの場合、因子負荷ベクトルの符号の不定性を除いて識別可能であるが、スターグラフモデルの場合は識別不能にもなり得ることが知られている。本研究では、スターグラフモデルの表現が有限個であるという意味での識別可能性を有するための、組合せ論的な条件の導出を行った。 また、空間疫学における、特定疾病のホットスポットを検出するために用いられるスキャン統計量のp値の計算アルゴリズムについても研究を行った。ホットスポットの候補の地理的な隣接関係のグラフ構造と、そのグラフのコーダル拡張に基づく分解を利用することにより、効率的にp値を計算するアルゴリズムを提案し、実用上有用であることを実データにより示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、マルコフ基底とグラフィカルモデルの識別可能性の理論を計算代数的な視点から発展させることが目的であるが、識別可能性の問題については、2年をかけて一定の成果を得ている上、他の問題についても進行中である。さらにマルコフ基底については、今年度、海外研究者を日本に招聘して集中的に議論する予定であり、残りの研究期間で目標は十分に達成できるものと考えている。 さらに、空間疫学のスキャン統計量のp値計算など、副産物的に得られた成果も合わせれば、現時点では、予定通りがそれ以上の進行状況であると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
識別可能性の問題については、モデル全体の識別可能性から、特定の因果効果が識別可能であるための条件の導出や、正規分布モデルから離散の因子分析モデルへの拡張などの問題を今後議論する予定である。マルコフ基底については、離散多項ロジットモデルのような、ローレンス持ち上げの計画行列を持つモデルのマルコフ基底の生成アルゴリズムの開発を目指す予定である。このテーマは、イリノイ工科大学のSonja Petrovic氏、Despina Stasi氏、Dane Wilborne氏、ケンタッキー大学のRuriko Yoshida氏らと共同研究の形で進める予定である。
|