研究課題/領域番号 |
25330043
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
今野 良彦 日本女子大学, 理学部, 教授 (00205577)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ウィシャート分布 / 統計モデル / 低ランク行列 / 推定問題 / 検定問題 / 縮小推定量 / 分散共分散行列 |
研究実績の概要 |
変量間に相関のある多変量データの統計的推測理論の体系である多変量統計解析においては,通常,観測変量の次元より標本数が多い仮定をおく.しかし,近年の大規模モデルやスパースなデータの設定では,標本数よりも観測変量の次元が大きい状況が出現する.たとえば,古典的な多変量解析においては,経験分散共分散行列に基づき様々な統計手法が構築されているが,標本数よりも観測次元が大きい場合には,この経験分散共分散行列が特異になってしまい逆行列が存在しなくなる困難が発生する.この状況下において,古典的なアプローチを超えて,多変量解析の理論をいかに構築していくかが本研究の目的である.本年度は,昨年度に引き続き等質錐(推移的な作用群を持つ凸錐体)上に値を取るウィシャート分布族を見通しよく拡張した Graczyk and Ishi(J. Math. Soc. Japan 2014, 317-348)を基礎にして,等質錐によって母数化されている多変量正規行列モデルの統計的推測問題を不変統計的決定理論の観点から研究することを目指した.さらに,経験分散共分散行列の逆行列が存在しない時に,そのムーア・ペンローズの一般化逆行列を代用することにより,母平均行列に対する縮小推定量を構成する問題を複素多変量正規もモデルのもとで検討した.また,両側切断データの設定においては,モデルの分布のノンパラメトリック最尤推定量の漸近分散の推定量を陽に与えることにより,分布の信頼区間や適合度検定等に関する推測手法を提案した論文を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
等質錐上で定義されたウィシャート分布族に基づく統計的推測理論の理論を展開した結果に関する論文の準備がうまく進捗していない.また,経験分散共分散が特異な時の多変量複素正規行列モデルの母平均行列の推定問題に関しては,推定量の評価に研究計画策定時の予想を超えた技術的な困難が生じたために,研究の遂行がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
経験分散共分散行列が特異なときの行列値複素正規モデルの母平均行列の縮小推定量の評価についての研究を進めていく.また,メタアナリシスへの応用を念頭において共通平均の推定問題に対する新たな理論の構築を目指していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張を見送ったためと研究を推進するための図書の購入を見送ったために生じた残だ他である.
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次年度使用額の使用計画 |
図書の購入を進めるとともに,数値実験を効率的に実行するために卓上型コンピュータの購入を予定している.
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