研究課題/領域番号 |
25330044
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
田野倉 葉子 明治大学, 先端数理科学研究科, 特任准教授 (60425832)
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研究分担者 |
佐藤 整尚 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (60280525)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 金融危機 / 時系列解析 / 統計的モデリング / 分布フリーインデックス / パワー寄与率 / リスクの計量化 / 構造変化 |
研究実績の概要 |
研究最終年度である今年度は,本研究で開発した研究手法の有効性を確認した.分布フリーインデックス構築法を世界各国のソブリンCDSに適用し,地域別ソブリンリスク分布フリーインデックスを構築し,最近の新興国ソブリンリスクの低下が検出された.世界各国の経済成長率に適用して構築した経済成長率分布フリーインデックスによって,先進国と新興国の経済成長の二極化が検出された.また,さまざまな満期の日本のCDS価格に適用した分布フリーCDSインデックスにより,情報をバランスよく集約した基調的な信用リスクを計測した.今年度6月の英国のEU離脱の是非を問う選挙および11月の米国大統領選挙といったイベントがあった際,日本をはじめ他国の金融市場に同時に起こった反応から各国の政治リスクの台頭が金融市場に影響を及ぼしたと推測されたが,関連データを入手し,統計的解析により日本への影響を検証した. 補助事業期間全体を通しては,先進国,新興国など世界各国の経済統計と金融市場価格等の大規模なデータをインターネットやオンラインデータサービスを通して収集して統合・整備し,実証研究を行った.これにより,研究手法を拡張して手法の有効性を確認し,成果をまとめる形で著書を執筆した. 本研究の意義は,2008年の世界的経済危機をもたらした,従来の景気循環にない急激な環境変化について,観測データに基づいたデータ駆動型の統計的手法で解析を行い,従来の理論に基づいた方法と比較して総合的に有益な情報を抽出し,統計的な枠組みにおいて統合した分析手法を構築することである.目的はおおむね達成したが,経済指標と金融市場価格といった頻度の異なるデータの統計的統合手法の開発に関する問題点が明らかになり,多様なリスク要因の波及が急速に世界中に拡大する傾向が高まったことからさらに大規模な情報の集約が必要となったこと等,今後の課題も明確にすることができた.
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備考 |
本研究で開発した分布フリーインデックスの構築法による世界の地域別信用リスクを計るソブリンリスクインデックスを逐次更新し,統計的手法の有効性の確認を継続している.
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