研究課題/領域番号 |
25330047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
高石 哲弥 広島経済大学, 経済学部, 教授 (60299279)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 実現ボラティリティ / ハイブリッドモンテカルロ法 / SVモデル |
研究概要 |
実現ボラティリティは高頻度金融データを利用したボラティリティの推定方法である。実現ボラティリティは高頻度データのサンプリング時間がゼロの極限で積分ボラティリティに一致するが、有限のサンプリング時間(つまり、有限のサンプル数)ではバイアスが生じる。このバイアスについて収益率を実現ボラティリティで標準化した量を利用して調べた。バイアスがなければ標準化した量は標準正規分布に従う。このバイアスを調べるために、さまざまなサンプリング時間で実現ボラティリティを計算し、収益率を標準化した量のモーメントを10次まで調べた。標準正規分布のモーメントと比較すると、有限のサンプル数では標準正規分布のモーメントからずれており、そのずれはサンプル数が少ないと大きくなることが分かった。また、現実の高頻度データにはマイクロストラクチャーノイズが存在し、サンプル数を大きくしていった極限ではマイクロストラクチャーノイズの影響で小さくなるが、マイクロストラクチャーノイズの影響を考慮した後は、標準正規分布のモーメントに近づくことが分かった。 ボラティリティ変動モデルに実現ボラティリティを導入したモデルが知られており、このモデルの推定方法をハイブリッドモンテカルロ法で開発した。ハイブリッドモンテカルロ法の中の分子動力学シミュレーションでは改善された積分法を用い、改善された積分法の方が一般的なリープフロッグ法よりも効率が良いことが判明した。このモデルは、実現ボラティリティのバイアスを考慮できるモデルで、モデルから見積もったバイアスの値はHansen-Lunde修正ファクターの値と似ているいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度研究予定の実現ボラティリティに対する有限サンプル数効果を高頻度金融データを用いて調査を行い、その振る舞いを10次のモーメントまで確認することができた。また、マイクロストラクチャーノイズの影響についても調査することができた。ボラティリティ変動モデルの推定方法は実現ボラティティを付け加えたモデルについてのハイブリッドモンテカルロ法について開発を行った。今年度開発したハイブリッドモンテカルロ法については次年度以降のさまざまなボラティリティ変動モデルに活用することができる。以上のことからおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
実現ボラティリティ分布形を考慮したボラティリティ変動モデルの推定方法を開発する。推定方法はハイブリッドモンテカルロ法を利用する。まず、パラメータの値が判明している人工データを利用して推定が正しく行われているかを調査する。その後、現実の高頻度データを利用して推定を実行する。ハイブリッドモンテカルロ法は並列計算が可能であるのでGPU計算用のプログラムを開発し、どの程度高速化が可能かを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
英語論文の校正費及び投稿料として利用する予定であったが、当該年に論文が完成しなかったため。 次年度に論文が完成後、校正費及び投稿料として利用する予定である。
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