研究課題
生態リスク評価については、期待影響割合のベイズ推定法を提案し、その使用を推奨してきた。そして、提案した方法を使用する際に問題となる感受性分布の同定に必要な慢性毒性データの不足を補うため、急性毒性から慢性毒性を推定する方法を提案した。発生源解析については、数学的に識別不能とされる環境汚染に対する未知発生源の寄与率を推定可能にするベイズ的方法を提案し、その有用性を示すと共に、適用範囲を拡大するため時空間情報等の補助情報の利用拡大について検討した。今年度は室蘭港底質のPCB汚染の発生源について検討し、成果を国際学会および国際雑誌に発表した。方向統計学については、環境データの中で特に角度データのモデル化に焦点を当てて研究を行った。説明変数に角度データを含む場合の多変量回帰モデルにおいて、外れ値もしくはモデルに強い影響を与えるデータ検出のための統計的診断法を開発した。理論を太陽放射エネルギー測定データに応用してデータ解析するとともにシミュレーションにより理論の検討を行った。また、土砂災害の軽減を目指して、斜面崩壊時刻を予測するための時系列モデルおよびロジスティック回帰モデルについて研究した。毒性の基礎研究については、毒性をもたらす化学物質に対する細胞応答のモデル化を試みた。具体的には、リガンド依存イオンチャネル等に代表される化学物質レセプターを入力として引き起こされる細胞興奮の能動性を、細胞内イオンによる電気的特性に着目し、等価回路による解析を行った。この成果は、化学物質に対する細胞応答の電気物理的モデルの提案であり、電気的解析手法の導入による数値的アプローチの基盤となると期待できる。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件)
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