研究課題/領域番号 |
25330057
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 秀樹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293667)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 計算機アーキテクチャ / メモリ・レベル並列 / 低電力 |
研究実績の概要 |
近年のプロセッサにおいては、1つのプログラムの実行(単一スレッド実行)における実行時間はほとんど短縮されず、性能向上はほぼ停滞している。この原因は、いわゆる次の2つの障害(壁)による:メモリの壁と電力の壁。 今年度は、メモリの壁を克服する方式として、実行に必要な重要な資源が実行時に不足したときに、そのような資源を使用せず、仮に命令を先行して実行し、メモリ・レベル並列を利用することにより性能を向上させる仮想リオーダ・バッファ方式におけるいくつかの性能改善手法を提案し、大きな性能改善を達成することを示した。また、動的に命令ウィンドウのサイズを変更し、メモリ・レベル並列を利用する動的命令ウィンドウ・リサイジング方式について、研究をまとめ、ジャーナル論文として発表した。 また、電力の壁を克服する方式として、フロントエンドに電力効率のよいイン・オーダ実行系を配置し、できるかぎりそれを利用して実行を行い、電力効率の悪いアウト・オブ・オーダ実行系の使用率を低下させ、プロセッサ全体の電力効率を改善するフロント・エンド実行方式を提案した。この研究は、コンピュータ・アーキテクチャの分野で最も権威のある国際会議に論文が採択された。このほか、発行キューの電力を削減する2段階タグ比較方式による電力削減を詳細に調査し、発表した学生が、情報処理学会計算機アーキテクチャ研究会若手奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2段階タグ比較方式は、当初計画とおりであるが、その他の研究は、部分的には当初計画より進んでいる。シミュレータへの実装が当初考えたより単純であり、評価結果も良かったため、初年度に計画より進展し、2年度目はその影響で進展した状態を維持している。
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今後の研究の推進方策 |
2段階タグ比較方式について、国際会議に論文が採択されるよう研究をまとめる作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が計画より進んでおり、必要経費が不足していたので、前倒し支払い請求を行った。この請求において、必要経費の予測精度を10万円単位としたので、10万円以下の誤差が出た。その誤差額が65,561円ということである。つまり、経費が余ったわけではなく、不足額の請求にわずかに誤差があったに過ぎない。
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次年度使用額の使用計画 |
前倒し支払い請求の請求誤差が残っているだけなので、計画より実際は進んでいるが、計画を遂行すれば、すべて使用される。
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