研究課題/領域番号 |
25330059
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今井 正治 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (50126926)
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研究分担者 |
武内 良典 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70242245)
劉 載勲 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (70726976)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LSI設計技術 / タスク割当 |
研究実績の概要 |
本研究では,入力データばらつきを考慮したマルチプロセッサシステムのためのタスク割り当て手法を提案する.ハードリアルタイム制約を有するアプリケーションでは,入力データによらず演算を一定時間内に終了する必要がある.マルチプロセッサに対するタスク割り当てはタスクの実行時間を利用して行われるが,入力データに依存してタスクの実行時間は変動するため,従来はタスクの平均,タスクの最悪値に対して,タスク割り当て・スケジューリングが行われてきた.本研究では,入力データのばらつきの影響を考慮し,リアルタイム制約下で,対象システムの実行サイクル数,消費電力,消費電力量を最適化するタスク割り当て手法を提案する. 平成26年度は,平成25年度に検討を行ったシステムの記述方法を用いて,統計的な実行時間ばらつきをもつ複数タスクを有する対象を,マルチプロセッサシステムに割り当てた場合の,システム全体の実行時間ばらつきを解析的に計算する方法の検討を進めた.検討した方法は各タスクの実行時間を統計的な関数で表現し,タスクおよびその実行順序が割り当てられたとしたときのシステム全体の実行時間を解析的に求める方法である.単一プロセッサ上で逐次的に動作する複数のタスクを実行する際の実行時間ばらつき,並行動作する複数プロセッサにタスクが割り当てられた場合の実行時間ばらつきを計算し,システム全体の実行時間を計算する.この計算は高速に行うことが可能であるため,シミュレーションを繰り返して求めるよりも効率よく求めることが可能であり,タスクのマルチプロセッサ割当てをこれまでよりも多く探索が可能となる.また,マルチレイヤのような複雑なバスシステムを有するシステム上での実行時間見積もり手法を提案し,こちらを論文としてまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の目標は,システム全体の実行時間ばらつきを解析的な方法で求めることで,実行時間の計算を高速化すること,複雑なバスシステムで結合されたシステム上での実行時間見積もりを効率よく行うこと,およびそれらを活用した入力データばらつきを考慮したマルチプロセッサシステムのためのタスク割り当て手法を検討することであった.統計的に表現できる実行時間ばらつきをもつ複数タスクを有するシステムに対するアルゴリズムの基礎的な検討は終了し,実際にシミュレーションを繰り返した場合と同等の結果が得られることは確認できており,次に本手法の実装を進める必要がある.また,複雑なバストポロジーを有するシステム上での実行時間見積もり手法については,これまで研究を行っていた優先度を変更可能な共有バス方式のトポロジーを有するシステムの実行時間見積もり手法を拡張して,最新のAMBAバスのような複数レイヤ,バスマトリクス・トポロジーに対応させた.提案手法では,精密ではあるが時間のかかるサイクルレベルから求めるシステムの実行サイクル数と比較して,効率よく実行サイクル数を見積もり可能であることを示し,この成果を論文としてまとめた.これらを活用したタスク割り当て手法に関しては,現在研究を進めているところであり,解析的手法を用いた実行時間ばらつき計算手法の実装とともに,継続的な研究課題となっている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず平成26年度中に進めた解析的手法を用いた実行時間ばらつき見積もり手法の試作を進めるとともに,システム記述入力から,設計品質指標見積りを行うシステムの実装を進める.また,マルチプロセッサへのタスク割当手法の定式化を行い,電力量最適化問題として手法を完成させる.次に,プロセッサ個数を最小化する問題を最適化問題として定式化し,システムの試作を進める.つぎに,自動タスク分割のための基礎的な検討を行い,システム記述入力からマルチプロセッサにタスクを割り当てるためのタスクの生成と最適割当てのための手法を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
必要に応じて研究費を執行したが,当初の見込み額と執行額が異なっていたため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に特に変更は無いので,前年度の研究費も含め,予定通りの研究を実施していく.
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