研究課題/領域番号 |
25330062
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
樋上 喜信 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (40304654)
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研究分担者 |
高橋 寛 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80226878)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LSIのテスト / LSIの故障診断 / 遅延故障 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実績としては,主に以下の3点が挙げられる. (1)クロック信号線に遅延がある場合の,遅延故障の診断法を開発した. (2)マルチクロックSOCにおいてクロック遅延故障がある場合の遅延故障の診断法を開発した. (3)3次元LSIのテストに関する英語の参考書を分担で執筆した. 3次元LSIにおいては,クロック信号がTSV(シリコン貫通ビア)を通して供給される場合があり,TSVに欠陥が存在すると,クロック信号が遅延することが考えられる.そこで,クロック信号が遅延した場合でも,組合せ回路内のゲート遅延故障が高精度に診断できる手法を開発した.開発した手法では,7値の論理値を用いたシミュレーションを利用し,故障辞書を作成した.故障辞書には,外部出力論理値に加えて信号の最終変化時刻の情報を保存した.診断においては,被診断回路の応答と故障辞書の情報を比較し,候補故障の絞り込みを行った.3次元LSIでは,複数のクロック信号により動作するマルチクロック回路が実装される場合も一般的であるため,マルチクロック回路に対する遅延故障の診断法を開発した.開発した手法は,(1)で用いた診断法をベースとし,過去に提案されたマルチクロック回路に対する実速度テスト環境に適合させた.さらに,3次元LSIに関する英語の参考書を分担し,これまでの研究の成果と内外の関連する研究をまとめた内容を執筆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画では,マルチクロック回路における遅延故障の診断法の開発が課題として挙げられていた.実績においては,マルチクロックSOC(システムオンチップ)を対象とした遅延故障診断法が開発でき,実験においての開発手法の有効性が確認できたため,研究が順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画としては,以下のような課題が挙げられる. (1)信号伝搬遅延をより精密に計算することによって,ハザード信号の影響を考慮した遅延故障の診断法を開発する (2)クロック信号に遅延がある場合のゲート遅延故障の診断において,ハザード信号の影響を考慮した手法を開発する 信号の伝搬遅延の影響のため,0または1の信号が一時的に1または0となるハザードが発生する場合があるが,これを正確に計算することは計算コストの増大を招く.しかしながら,ハザードの影響を無視した計算結果を用いた診断では,誤った診断結果をもたらす場合がある.そこで,ハザードの影響を効果的に計算した診断法を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国内学会に参加予定であったが,学内の入試業務等により出張することが困難となり,予定していた国内学会への参加を見送ったため,当初計画と異なる実績となった.
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの研究成果を国内外の学会・国際会議で発表する予定である,そのための旅費として使用する計画である.
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