自動車製品において安全性、快適性、及び燃料経済性を向上するために、IVNS(IVNS: In-Vehicle Network System)の導入が進んでいる。IVNSは、ECU (Electronic Control Unit)、センサ、及びアクチュエータといった車内に分散する部品をWHで接続する分散組込みシステムとして実現される。現状では自動車の製造コストに占める電装品の割合は20%を超えており、2015年には40%を超えると試算される。今後、自動車製品においてより先進的な機能を実現するために、IVNSは大規模化すると予想される。 一般に、多くの機能を情報システムとして実現するためには、高性能なECUや動作周波数が高いWHが必要であり、製造コストが増加する。特に、WHの動作周波数を高めると、遮蔽シールド、インピーダンス整合、及び大径化といった工程が必要となり、WHのコスト増を招く。また、設計対象が大規模化すると、人的及び物的な設計資源を多く投入せざるを得ずに、設計コストが増加する。日本の自動車産業が競争力を維持するためには、製造コスト及び設計コストを抑制し、IVNSを設計する技術の確立が急がれる。 本研究課題では、通信プロトコルFlexRayを対象とし、製造コストを抑制したIVNSを自動合成する技術の研究を行った。動作周波数及び製造コストが異なるWHを最適に選択し、FlexRayの設計パラメータを最適に決定することで、実時間性及び信頼性に係る制約を満たし、かつ、製造コストが最小となるIVNSを自動合成する研究を実施した。設計自動化によって設計コストを削減し、IVNSの設計パラメータを最適化することで製造コストを削減した。
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