研究課題/領域番号 |
25330067
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長名 保範 琉球大学, 工学部, 助教 (00532657)
|
研究分担者 |
天野 英晴 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60175932)
藤田 直行 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 研究員 (70358480)
中條 拓伯 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80217736)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | FPGA / 科学技術計算 / 数値流体力学 / 高位合成 / 設計自動化 / 部分再構成 / 可変構造型計算機 |
研究概要 |
本研究課題では流体力学のシミュレーションをソフトウェアによってではなく、FPGA上の論理回路によってハードウェアで直接実行することによって高速化するための要素技術を検討している。主要な課題としては 1. 数値計算のための論理回路を容易に設計する手法 2. 論理回路がひとつのFPGAに収まらない規模である場合にそれを適切に分割する手法 3. 複数のFPGAで構成されるシステムの運用に関連する課題、がある。 25年度にはまず 1. の問題について、Javaで記述されたプログラムからハードウェアを生成するツールであるJavaRock-Thrashの拡張を行い、科学技術計算向けの浮動小数点演算プログラムを扱えるようにした。ソフトウェアを記述するための言語から回路を生成する処理系は他にもあるが、浮動小数点演算を扱えるものはまだ数が少なく、この点においてJavaRock-Thrashは有力なツールである。 次に 2. の問題について、プログラムから手動で抽出したデータフローグラフをもとに、2次元FPGAを対象として最適な回路分割を与えるアルゴリズムとソフトウェアの開発を行った。複数のFPGAを持つシステム向けの回路分割手法はさまざまなものが提案されているが、本手法は大規模な演算処理に特化したものであり、大規模な回路を多数のFPGAに高速に分割配置することが可能である。 3. の問題については、FPGAの一部だけを必要に応じて書き換える部分再構成の手法を適用することで、回路の書き換え時のシステム全体の再起動を不要とした。これにより、ソフトウェアをロードするのと同じように回路をロードしてFPGAベースの計算機を動かすことが可能である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り、高位合成、FPGAの部分再構成、回路分割といった基本的な手法の開発は計画通りに進捗している。高位合成については農工大のチームで開発中のJavaRock-Trashを用いて、Javaで書きなおした流体計算のコードがFPGA上で動作することを確認した。FPGAの部分再構成は慶應大のチームが1つのFPGAで動作確認を行い、有効性を検証した。回路分割の手法については琉球大で、データフローグラフをFPGAに分割配置する方法について検討し、実装を行った。 また、琉球大ではマルチFPGAのプロトタイプであるFLOPS-2Dを動かすための各種のコントローラの実装や、JAXAでは大元の実装となるFORTRANコードの解析も順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
計画通り順調に進んでおり、今後も引き続きこの体制で研究を推進する。 高位合成については計画時にはなかった、農工大で開発中のJavaRock-Thrashが有力なツールとして導入されている。しかし、大元のソフトウェアがFORTRANでありそこからの変換を考慮するとJavaでは困難も考えられるため、当初計画通りのCベース設計についても引き続き研究を行う予定であり、琉球大で作業を開始している。 部分再構成手法については慶應大と琉球大で共同で作業を行い、琉球大で開発中の手法を用いて分割配置された回路を、部分再構成によって複数のFPGAに配置するシステムの実現を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
慶應義塾大では25年度に、大学院生1名が研究のため琉球大へ1週間程度出張する予定であり、予算を残していたが、スケジュールの調整ができず、26年度に繰り越すことになった。また、物品費も他の研究費で充足することができたため、本年度は支出していない。 26年度には慶應義塾大学の大学院生が琉球大に一週間程度滞在して研究開発を推進する予定である。また、その成果の発表を行うための学会出張旅費として25年度の残高を利用する。
|