【全体概要】本研究は、プログラミング言語(とくにオブジェクト指向言語)が持つ「継承」「アスペクト」「型パラメタ」などのクラス合成機能をより基本的な要素に分解し、汎用的な言語機構として再構築することで、新たなクラス合成機構を自由に構築できるプログラミング言語を作り出すことをめざしたものである。 【最終年度に実施した研究の成果】最終年度(平成27年度)においては、前年度までに設計・試験実装したプログラミング言語を用いて新たなクラス合成機構の設計・試作の検討を行った。具体的な合成機構としては、ストリームに対して複数の処理を次々に施す「パイプライン」の合成機構、および、1つのデータを多くの処理主体に木構造に沿ってブロードキャストして葉の部分で蓄積し、その後結果を上に向かってマージしながら出力する「ブロードキャストツリー」の合成機構を検討したが、論文にまとめるには至らなかった。また3年間の研究成果のまとめとして、開発した言語およびその処理系について文書化しリサーチレポートとして公開した。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】研究期間全体としては、まず初年度(H25年度)の調査において既存のクラス合成機構(継承、AOP、型パラメタ)およびそれを採り入れた既存言語の機能や特徴について調査し、それに基づいて次年度(H26年度)に新たなクラス合成機能を持つプログラミング言語を設計し実装することができたのが主要な成果であるといえる。本言語については情報処理学会プログラミング言語研究会において発表するとともに、その内容をリサーチレポートとして公開している。その後の課題としてはこの研究で新たに提案した言語機構(クラス合成機能)の有用な用途を探索することが残されたが、その部分については前項で述べた通りである。
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