漸進的要求獲得プロセスを計画し,プロセスを可視化するためのツール開発を行った.ツール開発にあたり,既存のプロジェクト管理システムの拡張を検討するために,各種ツールのメタモデルを作成すると共に,開発すべきツールのメタモデルを開発し比較した.これによって既存のツールに付加すべき機能,およびデータ構造を明確することが可能となる. 本研究の遂行中に3つのツールの試作を行った.最初の2つ目のツールでは,全体を自作するものであったが,利用者インタフェースの低品質が課題となった.そこで,既存のツールに対して必要な機能をアドオンしてツールを開発する方向を検討した.本研究で採用したRedmineはプロジェクト管理用のツールである.プロジェクト遂行中に生ずる様々な課題をチケットとして管理し,その課題解決の計画から解決までの進捗を可視化することができ,広く企業でのプロジェクト管理に適用されている.本研究では,要求獲得時に要求を登録し,その要求が詳細化され,あるいは変更され、削除される状態遷移を追跡する必要があった.また,時間軸による各要求数の推移の可視化,および予実管理をすることが求められる.これらの機能は,チケットを獲得した要求として用いることによって,要求の間の親子関係も管理可能であることをメタモデルによって確認した. 予実管理のための要求獲得プロセスの可視化には,Rを用いたグラフ表示ができる必要がある.そのため,Rとの連携機能も必要であった.Redmineは,Rとの連携も可能であったため,Redmineを基盤ツールとして採用し,開発を行った.ツール開発に2年を要したが,2017年3月に研究会において研究成果を発表することができた.論文誌投稿には至らなかったが,これは,ツールの基盤選定に時間を要したこと.開発リソースの不足が主な原因である.開発したツールはWebで公開すべく準備を進めている.
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