研究課題
本年度は,急激な負荷増加に対応するために同時に複数のキャッシュサーバを起動するための機構を実装した.さらに,キャッシュサーバの起動開始からサービス開始までの遅延時間に対処するために,負荷の上昇率からキャッシュサーバのサービス開始時の負荷を予測することで起動時間を決定する機構の構築も行った.その結果,負荷が急激に向上してもそれに追従したキャッシュサーバの起動が可能となった.また,クライアントでの応答時間を調査したところ,実装した機能が有効に働いていることを確認できた.昨年度検討したDNSを用いた負荷分散機構を試作し実験したところ,ロードバランサを用いた方式ほどではないが負荷分散できていることを確認できた.特定のサーバからのリクエストを優先的に処理する機構では,優先サーバを動的に登録する機構を構築したことにより,キャッシュサーバを起動するときにIPアドレスを固定的に割り当てる必要がなくなった.さらに,ファイアウォールを用いた有線アクセス機構の簡易実装も行った.本研究の目標は,Webサーバへのアクセス量に応じてクラウド上で提供される従量課金のキャッシュサーバ数を動的に増減することで,コストパフォーマンスに優れたWebシステムを開発することである.研究期間を通じてその基本的な機能である,キャッシュサーバの負荷状態を把握する機能,キャッシュサーバを動的に起動,停止する機能,キャッシュサーバに過剰なアクセスを向ける機能,キャッシュサーバからのアクセスを優先して処理する機能を構築できた.よりよいサービスを行うための機能である,キャッシュサーバ上での効率的なキャッシュ管理機構やキャッシュサーバと連携しても処理できないほどの過剰アクセスに対処するための機能については,必須の機能でないことから優先度を下げたため実現まで至らなかった.しかし,前者については,その構成と処理手順を確定できた.
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16th IEEE/ACIS International Conference on Software Engineering, Artificial Intelligence, Networking and Parallel/Distributed Computing (SNPD)
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10.1109/CSCI.2015.26
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