研究課題/領域番号 |
25330088
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
松崎 公紀 高知工科大学, 工学部, 准教授 (30401243)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 並列プログラミング / 脳情報処理 / 計算パターン |
研究概要 |
平成25年度は,脳機能画像に対する情報処理として広く用いられている技術,および,今後重要になると考えられる技術について,(並列) 計算モデルの観点から調査を進めた.現在,脳機能画像に対する情報処理のためのソフトウェアとして,SPM (Statistical Parametric Mapping) が一般的に用いられている.一方,この数年でより計算資源を必要とする,機能的接続性 (functionalconnectivity) の解析が注目されている.この機能的接続性は,複数の脳部位またはボクセル間の (統計的な) 関連性を調べるものである. 具体的に,機能的接続性の解析を行うための計算モデルについて既存研究の調査を行い,それを計算パターンの観点から考察した.例えば,2010年に提案されたモデルでは,ボクセルの値の変化を近傍のボクセルの影響と遠隔のボクセルの影響に分けて扱う.このモデルに対して並列計算の文脈で捉えると,前者はステンシル計算に類似し,後者はペアワイズ計算となる.様々な並列分散計算モデルにおいて,それぞれの計算を効率良く実現する方法が研究されているが,それらを組み合わせて全体の計算を効率良く行う必要があることを確認した.このような平成25年度に得れらた知見は,今後実際に機能的接続性解析の並列計算モデルを実現し,そのプログラム開発を行うにあたって重要なものである. また,上記のペアワイズ計算について,それをMapReduceフレームワークにおいて効率的に実現するために必要なアルゴリズム的考察についても行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度において,既存の脳情報処理アルゴリズムSPMに対する計算パターンを関数プログラミングの手法で捉えることを予定していた.しかし,SPMの他に,機能的接続性の解析が重要になっている状況を踏まえ,そのアルゴリズムの理解や定式化を行うことにした.この方針の変更により,当初予定していたスケルトン並列プログラミングによる定式化に至っていない.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた脳情報処理技術に関する知見をもとに,関数プログラミングの手法を用いて計算アルゴリズムのパターンを捉える.また,実際にそのアルゴリズムをスケルトン並列プログラムとして実装することにより,既存の並列スケルトンの問題点があるかどうかを調査する.平成25年度の成果に述べたとおり,ステンシル計算やペアワイズ計算などを融合したアルゴリズムが必要であるため,計算パターンの組合せの自由度について調べていく必要がある.
|