研究課題/領域番号 |
25330099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
塩田 茂雄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70334167)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | センサ / 位置推定 / 最適化 / 検出 / 対象物 |
研究概要 |
1. アンカーノードフリーなセンサ相対位置推定法 各センサが近隣のセンサまでの距離を(近似的に)測定できるものとして,センサ間の距離情報に基づいて,センサの相対的な位置関係を推定する問題について理論的に検討した.相対位置推定は最適化問題として定式化できるが,目的関数は非凸な非線形関数となるため,降下法等により数値的に解を求める必要がある.この場合,初期推定値の選択が最終的な推定値の精度に大きく影響し,大域的最適解への収束性は保障されない.本研究では初期推定値依存性を効率的に取り除くための手法を提案し,提案手法を用いた場合の相対位置推定法の精度をシミュレーションにより検証した.その結果,本手法を用いない場合,もしくは多次元尺度構成法による相対位置推定法を用いた場合に比べて,推定精度が大幅に向上することを確認した.提案手法は,アンカーノードを用いる絶対位置推定法にも適用することができ,相対位置推定法と同様に,推定精度は大きく向上する. 2. 対象物に対するセンサの検出反応からのセンサの実空間の位置関係の復元 対象物を同時に検出したセンサは実空間において近接した位置に存在する.この事実に着目して,対象物に対するセンサの検出反応からのセンサの実空間の位置を推定する手法について検討した.対象物を同時に検出したセンサ間の距離が未知パラメタ(以下,基準距離)に等しいと仮定し,上述のセンサ位置推定法でセンサの相対位置を推定した後,アンカーノードの推定位置が実位置になるべく一致するように,得られた相対位置に並進,回転,反転,拡縮の変換を施して,基準距離を同定しながら,各センサの絶対位置を推定する.この手法により,驚くほど正確にセンサの絶対位置が推定できることを確認した.本提案手法は,IEEE MASS2013においてBest Poster Awardを受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の研究実施計画に挙げた「アンカーノードフリーなセンサ相対位置推定法」については理論的な考察,シミュレーションによる評価を終了した.加えて,当初計画にはなかった「絶対位置推定法」についても十分な成果を得た.27年度の実施計画に挙げていた「自己組織化写像によるデータ取得位置推定法」についても,(当初計画とは異なるアプローチにより)大きな進展を得た(対象物に対するセンサの検出反応からのセンサの実空間の位置関係の復元).一方,25年度の研究実施計画に挙げた「積分幾何学を用いたバイナリセンサによる任意形状対象物の形状,個数推定法」は基本的なアイデアをシミュレーションで検証している段階であり,検証が終了次第,26年度中にいくつかの学会で発表する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
26年度は 1. 対象物に対するセンサの検出反応からのセンサの実空間の位置関係の復元 2. バイナリセンサによる対象物の個数推定法 3. オンラインソーシャルネットワークにおける情報センシング について詳細検討を行う.1は25年度に基礎検討を終了しており,本年度は基本的なアイデアの論文化を行うとともに,さまざまな条件における詳細検討を進めたい.2は複数の基本アルゴリズムが出来上がっているので,その性能をシミュレーションで評価することが主な目的となる.3はTwitterなどのオンラインソーシャルネットワークを「実世界の動きを反映するメディア」とみなし,オンラインソーシャルネットワーク上で情報センシングを行う際の数理的・統計論的技術に関するテーマである.これについても検討を進めたい.
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