研究課題/領域番号 |
25330100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
林 幸雄 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 准教授 (70293397)
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研究分担者 |
松久保 潤 北九州工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (90413872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーク科学 / 再帰分割 / 人口分布 / 地理的空間 / 遅延耐性(DTN)ネットワーク / メッセージフェリー / ルーティング / 部分複写 |
研究概要 |
増大する通信要求にスケーラブルに成長する構造を持ち、局所情報に基づく分散処理による、近未来の情報通信ネットワークの自己組織化法として、人口密度等に応じた再帰分割で構築されるフラクタル階層構造に着目した、頑健で効率的なネットワークの構築法や協調的ルーティング法を探る。初年度として以下の成果を得た。 ・人口分布に応じた再帰分割で構築されたネットワーク上の乱歩が、生物の効率的な餌探索戦略としてのLevy飛行に類似することを利用して、自律分散な搬送蓄積型メッセージフェリーによるルーティング法のアルゴリズムを提案開発した。その基本特性である、独立したフェリーの軌跡による全ノードのカバー時間やノード間の平均初通過時間を調べた。さらに、複数フェリーによるノードを仲介した非同期かつ効率的に経路情報を交換する協調的ルーティングにおける、フェリー数に応じた軌跡のカバー率、パケット発生率に対する平均到達率と平均到達時間から、二次元格子上を一様乱歩するLevy飛行より優れた探索が可能となることを明らかにした(国際学術論文雑1件)。 ・部分複写により空間上で成長するネットワークモデルを考え、頑健性(結合耐性)や通信効率(最短経路長)に関して検討すべき課題を整理した(国際会議発表1件)。 ・媒介中心性の大規模計算法や分割に応じたショートカット追加法を検討した(国際会議1件、国内研究会1件)。また、頑健性と最短経路長の分析ツールを整備して、より利用しやすいように簡易マニュアルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メッセージフェリーによる自律分散ルーティングに関して、独立したフェリーによるネットワーク上の全ノードカバー時間やノード間の平均通過(移動)時間などの基本特性のみならず、複数フェリーによる協調的ルーティングに適用した際のフェリー数に応じたカバー率やパケット発生率に対する平均到達時間や平均到達距離などの特性まで明らかにすることが出来て、次年度分を想定したほぼ完結的な成果を得た。 一方、分析ツールの整備に想定以上の工数が発生したこともあり、再帰分割による階層構造を利用したショートカット法に関しては当初計画に応じたアイデアの模索や実験が進展していない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの予備実験から、ノード次数順の攻撃に対して最適な頑健性を有する玉葱状構造を創発できる見通しが得られそうになってきた、部分複写に基づくネットワーク構築に関するパラメータ特性を優先的に調べる。また、最短経路の経由ノード数や距離で測った通信効率に関する分析も加える。 再帰分割モデルに関しては、四分割の場合に固執せず、より単純化した二分割の場合に焦点を絞って遅れを取り戻す努力をする。まずは、橋渡しリンクの寿命と人口分布に従った負荷分散の関係を分析しながら、橋渡しリンクの優先度について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
再帰分割による階層構造を利用したショートカット法の検討が遅れた為に、そのシミュレーション分析等で使用するマルチコア計算サーバの購入を次年度以降とした。 翌年度分と合わせて、二分割の再帰分割モデルによるネットワーク成長に関する実験用に、分担者が使用するマルチコア計算サーバを年内中に購入する予定である。
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