本研究では、多様なマルチホップ通信をコグニティブ無線ネットワークで効率的に提供するために、隣接ノード、及び利用可能な周波数(ホワイトスペース)等の制御情報の共有が必要な点に着目し、通信特性の異なる周波数から(1)隣接ノード把握用の制御チャネルと(2)通信ノード群内のホワイトスペース情報共有のための制御チャネルを自律的に確立、維持する手法を提案する。 平成26年度までに、①空間的に近接する車両間での位置情報を定期的に交換する共通制御チャネル「エリア共通チャネル」と②実際に通信を行うノード群内での共通の制御チャネル「ノード群共通チャネル」の2階層型共通制御チャネル手法を考案し、シミュレーション評価によってスケーラビリティ評価を行った。その結果、ノードの移動状況にかかわらず、ホワイトスペースを確実に把握出来る事を明らかにした。 そこで平成27年度では、米国FCCが規定する2種類のホワイトスペースの把握手法である「データベース」と「センシング」の連携手法について新たに考案した。データベースは移動先の情報を事前に把握できる一方で、利用範囲が無線通信網の接続範囲に依存する点や、情報の信頼性が低い、といった問題が発生する。一方で、センシングは自律的に正確なホワイトスペース情報を把握できるが、移動先の情報を事前に把握できない。つまり「利用範囲」「信頼性」に関してトレードオフの関係にある。そこで本研究では、この2つの手法を有効利用するためのハイブリッド手法を新たに提案し、シミュレーション評価によって有効性を明らかにし、成果を国内研究会において対外発表した。 加えて、データベースによって移動先のホワイトスペースを把握出来る場合を想定し、得られた情報からアプリケーションにとって適切なデータチャネルを選択するための手法を新たに考案し、シミュレーション評価によって有効性を明らかにした。
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