研究課題/領域番号 |
25330114
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
桧垣 博章 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (70287431)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 移動無線ネットワーク / アドホックネットワーク / 通信容量 / 通信品質 / プロトコル / マルチメディア / 協調ロボット通信 |
研究実績の概要 |
昨年度までの無線アドホックネットワークにおける最大流量問題についての理論的検討に基づき、送信元無線ノードから送信先無線ノードまでの合流・分流を含む複数の無線マルチホップ配送経路によってネットワークアプリケーションが要求する通信容量を満足する流量予約を行なうプロトコルを検討、設計した。ここでは、基本方針として、単一の経路探索要求メッセージを送信元無線ノードから送信先無線ノードまでユニキャスト転送しながら流量増加経路を探索し、送信先無線ノードへの到達をもって流量増加経路を検出するものとした。流量予約は、検出した流量増加経路に沿って経路探索応答メッセージを逆方向に無線マルチホップ配送することによって行なう。経路探索要求メッセージは、送信先無線ノードと中継無線ノードの隣接無線ノードの位置情報に基づいて転送先隣接無線ノードを決定する位置ベースルーティングプロトコルを基礎として転送されるが、2ホップ隣接無線ノードまでの残容量および2ホップ隣接無線ノードまでに接続する無線リンクにおける予約途中流量の情報をも用いることとする。この転送先決定においては、流量増加経路を構成することが可能となるための必要条件の検証による絞り込みと、複数の可能な転送先候補から択一選択するためのヒューリスティックとの組み合わせ手法を適用している。現在までに、簡易シミュレータにおける実装を終え、正しく動作することを確認した。問題の特性から、ある程度規模の大きなネットワークにおいて有効性が明確になることが期待されるが、計算時間が長くなることが見込まれることから、ノード数の大きなネットワークでのシミュレーションが可能なシミュレータでの性能評価実験の準備を進行中である。また、性能が十分ではない無線ノードに対しても適用可能な軽量なヒューリスティック手法を検討し、これを適用したプログラムを球体小型移動ノードに実装した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロトコルの設計については、当初予定よりも深い検討を進めることができており、順調な進捗であると判断している。シミュレーション実験についても、新シミュレーションソフト上での実験準備が順調に進行している。実機実験については、プログラムの実装がやや遅れ気味ではあるが、最終年度となる来年度において成果をまとめるという点では問題はない。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに設計したプロトコルの評価を中心として今年度の研究を進める。無線ノード数が比較的多く、ある程度ノード密度の高い環境を想定すると、隣接無線ノード間の干渉によって新たな無線マルチホップ配送経路群による流量予約が行われることによる影響が以降の流量予約に現れること、複数の経路を組み合わせることによって要求流量を充足できることなど、提案手法の効果が明確になることが期待される。このような環境における本手法の有効性と環境条件が異なる場合における本手法の性能について実験評価し、本研究成果の効果を明確にするとともに、今後、解決するべき問題点を明確にする。 実機評価を行なう環境については、無線ノードに指向性アンテナが搭載されていることを考慮した手法を検討し、実装を進めている。こちらについても、実験評価により提案手法の有効性を明らかにする予定である。 今回設計した流量予約プロトコルでは、経路探索要求メッセージをユニキャスト送信する手法を適用している。この方法は、複数の経路探索要求メッセージを同時並行に取り扱わないことでプロトコルを簡易にしている。しかし、要求する流量を獲得するまでに複数の無線マルチホップ配送経路を探索、検出する場合には予約時間が延長するという欠点がある。シミュレーション実験によってこのオーバヘッドを評価する計画であるが、並行して、フラッディングあるいはそれに準じた方法によって複数の経路探索要求メッセージを配送し、複数のマルチホップ配送経路に対して並行に流量予約を行なう方法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
基本プロトコルの論文発表が来年度へと持ち越しになったために、論文掲載費用が減額となった。なお、省電力検討については当初計画通り論文誌掲載論文にまとめることができたが、掲載費用が不要であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
論文掲載費用として当初計画に対して追加使用する。
|