研究課題/領域番号 |
25330115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
佐藤 文明 東邦大学, 理学部, 教授 (40273164)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | センサネットワーク / エナジーハーベスト / ルーティング / 同期 |
研究概要 |
本研究は、太陽光パネルによる電力で充電されるセンサーネットワークを前提とし、太陽光パネルの発電パターンの確率モデルを過去の履歴から構築するとともに、周辺のセンサーが情報交換をすることで空間的な発電量の変化を収集し、将来の発電量を予測することで、適切な充電モデルを組み込み効率的な運用を可能とするエナジーハーベスト型のセンサーネットワークを開発する。 平成25年度においては、充電機構を持つセンサーネットワークのクラスタリング及びルーティング方法を設計し、シミュレーションによって基本的な評価を実施した。 平成25年度に作成したルーティング方式では、センサノードが送信するタイミングと受信するタイミングを同期させることで高いデータ到達率を実現した。エナジーハーベスト型のセンサネットワークでは、充電-受信-送信のサイクルがセンサノードの個体差、設置場所の状況、環境の変化によって変動することから、センサ間での送受信の同期が難しい。我々は、充電-受信-送信のサイクルの中の充電時間に着目し、この時間をデータ収集ノードであるシンクに集約した後、その時間を逆方向に伝搬して、最長の充電時間をネットワーク全体で合意させた。充電時間が合意されると、各センサノードは適切なスリープ時間を挿入して、充電-受信-送信のサイクル長を同じ長さに揃える動作をする。そして、自身が成功したメッセージ受信のタイミングから、送信元のタイミングと自身の受信タイミングとのずれを測定して、スリープ時間を調整してサイクルを前後にずらして、適切な送信者から適切なタイミングでの受信ができるように同期していくようにした。このルーティング方式をシミュレーションによって評価し、従来の方式に比べて50%以上の到達率の向上を可能とした。 この成果は、国際会議論文において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度においては、充電機構を有するセンサネットワークのルーティング方式の設計とシミュレーション評価の実施が目標であり、その目標にしたがって新たなルーティング方式の提案と評価を行い成果を国際会議で発表するまでに至っている。また、平成25年度中にシミュレータQualNetの導入や、センサネットワーク実装用の端末の導入とその予備実験を行っており、平成26年度での試作実装の準備を行った。産総研とのコラボレーションも実施して、産総研における太陽光パネルでの発電モニタリングと故障検知技術の開発に参画し、太陽光発電の特性についても十分な経験を得ることができた。これらのことから、平成25年度の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降の計画としては、25年度にシミュレーション評価した結果を基に、充電機構を持つセンサネットワークのルーティング方式の改善を検討していく。また、充電量を予測してノードをスリープさせる方式についてシミュレーションを行うとともに、実装を行って評価をしていく。また、徐々にノードを増やして実験を行うため、追加のセンサーノード端末を計上している。また、初年度と同様にこれらのシステム開発、実験において作業が必要となるため、学生アルバイト等を動員する可能性がある。 これらの実験結果や評価結果は、国内のワークショップや研究会、国際会議において発表を行い、他の研究者からのフィードバックをもらう予定である。そのための国内旅費、国外旅費を計上した。 平成27年度においては、更にルーティング方式の改良、他の発電方式への適応性の検討を行い、実際にモデル化が可能であれば他の発電方式を使ったセンサーネットワークの制御方式のシミュレーション評価を行う。また、実装プログラムはノード数を増やした環境において、ビル陰や雲等の影響が存在する状況において、有効性の評価を行う。最終的には、メガソーラ発電プラントにおける太陽光パネルのモニタリングシステムへの応用を目標とする。また、初年度、26年度と同様にこれらのシステム開発、実験において作業が必要となるため、学生アルバイト等を利用することを想定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度のセンサネットワークの試作について、小規模のセンサノードでの試作から開始したため、購入機材が少なくて済んだことから、平成25年度の予算が14万円ほど余り翌年度に繰り越したため、次年度使用額との差が生じている。 平成26年度は、繰り越した予算で、平成25年度で小規模に購入した機材を買い増しすることから、センサノードの機材購入に充てる予定である。
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