研究課題/領域番号 |
25330115
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
佐藤 文明 東邦大学, 理学部, 教授 (40273164)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | センサネットワーク / エナジーハーベスト / 太陽光パネル / 故障検知 |
研究実績の概要 |
本研究では、太陽光パネルによる電力で充電されるセンサネットワークを前提として、太陽光パネルの発電パターンの確率モデルを過去の履歴から構築するととともに、周辺のセンサが情報交換をすることで、空間的な発電量の変化を収集し、将来の発電量を予測することで、適切な充電モデルを組み込み効率的な運用を可能とするエナジーハーベスト型のセンサネットワークを開発する。 平成25年度の研究では、充電機構を持つセンサネットワークのクラスタリングおよびルーティング方法を設計し、シミュレーションによって基本的な評価を実施した。 平成26年度においては、太陽光パネルの発電量の過去の推移に基づいて、太陽光パネルの異常を検知するアルゴリズムの開発と実装・評価を行った。太陽光パネルの発電量は、太陽光パネルに個別に設置されるセンサによって測定され、発電された電力を送電する電線を使ってデータ収集装置に集められる。太陽光パネルの発電量は、天候や周囲の建物や樹木の影の影響を受けるため、全体としてもパネル個別としても発電量が毎日変化するため、故障のための発電量低下なのかどうかを検出することが難しい。われわれは、パネル全体における個々のパネルの発電量の比率が、天候に影響されにくく非常に安定していることと、その比率データに過去の統計データから大きくはずれるデータについて異常とする検知アルゴリズムを提案した。そのアルゴリズムの有効性を評価するために、産総研に設置された太陽光パネルを使わせていただき、太陽光パネルに覆いをかけて疑似的な異常を検知する実験を行った。提案方式は、ほぼ96%の精度で正しく疑似的な異常を検知することができた。 この成果は、国際会議論文において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度において、QualNetシミュレータを使ったルーテイングプロトコルの性能評価の実施や、産総研とのコラボレーションによる太陽光パネルのエラー検知アルゴリズムの実装と評価までを実現した。太陽光パネルの特性についての十分な知見を得ることができ、エナジーハーベスト型のセンサネットワークの実現のための有益な知見を得ることができた。これらのことから、平成26年度の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、更にルーティング方式の改良と、他の発電方式への適応性についての検討を行う。実際にモデル化が可能であれば、振動発電、あるいは風力発電等の他発電方式を使ったセンサネットワークの制御方式についてのシミュレーション評価を行う。最終的には、メガソーラ発電プラントにおける太陽光パネルのモニタリングシステムへの応用を目標とする。 太陽光パネルを用いた実験や、センサによる異常検知システムのアルゴリズムについての意見交換は、産総研とのコラボレーションを今後とも継続する。また、これらの実験結果や評価結果は、国内のワークショップや研究会、国際会議での発表を通じて、他の研究者からのフィードバックをもらう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーション評価用PCの価格が予想した額よりも安価となったため、購入費用に残額が生じ翌年に繰り越したため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度において、昨年度から繰り越した予算も含めて、センサ等の機材を買い増しし、実験に使用する予定である。
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