研究課題/領域番号 |
25330118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
榎戸 智也 立正大学, 経営学部, 教授 (10360158)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分散アルゴリズム / 省エネルギー / 情報通信工学 / 情報システム / オーバレイネットワーク |
研究概要 |
Peer-to-Peer(P2P)システムは,その高い拡張性から大規模分散型システム構築のための基盤として利用されている.一方で,システムの大規模化に伴う消費電力量の増大が環境保護上重要な問題となってきており,P2Pシステムの省電力化が必要である.さらに,大規模サービスでは,サービス停止の社会的影響が大きくなるため,応用プログラムを多重実行する等の多重化技術を用いてシステムの信頼性,可用性を向上する必要がある.しかし,多重化によるシステムの信頼性,可用性の向上には,さらなる消費電力量の増大をともなう.本研究では,P2Pシステムにおいて,多重化によりシステムの信頼性,可用性を向上し,かつ,応用プログラムを実行する場合にシステム全体の消費電力を低減するよう複数のピアを選定するアルゴリズムを提案する. 平成25年度は,はじめにピア上で応用プログラムを実行した場合の計算特性と消費電力特性を測定し,測定した計算特性と消費電力特性をもとにピアの計算モデルおよび消費電力モデルを定式化した.次に,定式化したピアの計算モデルと消費電力モデル,負荷状況をもとに応用プログラムを実行した場合の消費電力と応答時間を推定するアルゴリズムを設計した. 本研究では,N台のピアがシステム内で同時に停止すると仮定する.よって,各ピアは,自身が必要とするサーバ機能を有するN+1台以上のピアのグループを選定し,要求を送信する必要がある.本年度は,消費電力と応答時間の推定結果から,消費電力を低減でき,かつ要求するQoSを満たすピアのグループを選定するアルゴリズムを設計した.また,障害状況と応用プログラムの特性をもとに不要な応用プログラムの多重実行を制御することでシステムの消費電力を低減する方式を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の交付申請書に記載した研究実施計画通り,「ピアの計算モデルと消費電力モデルの定式化」,「ピアのグループ選定アルゴリズムの設計」,および「システムの消費電力を低減するための多重化制御方式の設計」を実施できている.以上のことから,研究計画通りに進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,はじめに平成25年度に設計した各ピア上で応用プログラムが実行された場合の消費電力と応答時間を推定するアルゴリズムの実装を行う.次に,実装した消費電力と応答時間の推定アルゴリズムの動作検証を実施する.さらに,実装した消費電力と応答時間の推定アルゴリズムの結果をもとに,消費電力を低減でき,かつクライアントが要求するQoSを満たすピアグループを選定するアルゴリズムの実装と動作検証を実施する.ピアグループの選定アルゴリズムの動作検証が完了した後,シミュレーション環境を構築する.構築したシミュレーション環境を用いて,ピアのグループ選定アルゴリズムを総消費電力および応答時間の観点から評価する.提案したピアのグループ選定アルゴリズムをもとに応用プログラムの実行要求を送信すると,各応用プログラムが複数のピア上で実行されるため,システムの消費電力の浪費が増加する.このための対策として,平成25年度に設計したピアグループ内のあるピア上で応用プログラムの実行が完了した場合に,他のピア上で実行されている不要な応用プログラムを停止するための多重化制御方式を実装する.
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