本研究は自動車の位置や速度などの情報をセンサデータとしてサーバに集め、渋滞などの情報を配信するテレマティクスサービスに関し,データを収集するための携帯電話網への負荷を考慮したデータ圧縮方式の開発が目的である.本年度は昨年度までの2年間の以下の成果に基づいて研究を進めた. (1)データ量削減のためのフォーマットを検討し,効率の良いデータフォーマットを提案し,実際の走行情報を利用してその有効性を検証. (2)サーバ主導でのデータ送信端末の制限を加える手法を検討し,シミュレーションによるその効果を検証. これらの手法に加え,最近モバイル環境においてもWiFiオフローディングが可能になりつつあるとの指摘を学会においても受けるようになり,WiFiオフローディングの利用の可能性に関しても評価を加えた形での詳細評価を行った.結論としてはWiFiオフローディング機能が使える場合もあるが,期待ではできないこと.また,WiFiオフローディングスポット情報をもとに送信可能な予想時刻を考え,データの送受信を遅らせる工夫をしてもそれほど効果はないことがわかり,本研究におけるデータ圧縮の必要性を改めて認識した.また,画像データやストリーミングデータの増加により本方式による圧縮方式は有効ではないとの指摘を受けることも多くなったが,実際にストリーミングなど帯域を多く使うケースは全体の台数からみるとわずかであり,本手法の有効性はそれほど落ちることはないと判断できた.
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