センサネットワークシステムで用いられるセンサノードは、動作中に機能変更を行うことが求められる。従来の研究では主にソフトウェアレベルでの機能変更が検討されてきたが、本研究ではハードウェアレベルでの機能変更を実現することを目標とした。具体的には、(1)動的再構成可能デバイスを用いたセンサノードの開発と、(2)動的再構成機能を活用するためのソフトウェアフレームワークの開発の2点を実施した。 (1)については、センサノード本体部分にArduino、動的再構成モジュール部分にPSoC1、無線通信デバイスにXBeeを用いたプロトタイプシステムを開発した。ノードの稼働中にセンシング精度を動的に変更する機能、および動的再構成モジュール部分を一時的に演算処理のためのコプロセッサとして用いる機能の開発を進めた。 (2)については、役割が異なる複数のセンサノードの柔軟な協調動作を実現するためのフレームワークを開発した。能力が異なるセンサノードが役割を分担し、情報を交換しながら協調動作する機能を、小型マイコンデバイス上で実現している。具体的には、センサデータ通信機能、イベント通信機能、ノード動作ルール解釈・実行機能の開発を行った。ノード同士でのイベント通信によって、ノードが他のノードを制御することが可能になる。各ノードの動作は、アクティブデータベースシステムで用いられているECA (Event-Condition-Action) ルールに基づいた簡易なルール記述言語を設計し、これによって記述することとした。本フレームワークを(1)で開発したセンサノードと組み合わせてシステムを構築することで、ハードウェアの動的再構成機能を積極的に活用した、協調型センサネットワークシステムを効率よく開発することが可能になる。
|