研究課題/領域番号 |
25330123
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
榎原 博之 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50194014)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遅延耐性ネットワーク / 地震被災者 / 津波 / 帰宅困難者 / ホームサーバ / 携帯端末 / GPS / NS-2 |
研究概要 |
今後各家庭に普及するであろうスマートホームシステムのホームサーバを利用した、災害向け遅延耐性アドホックネットワーク(Delay Tolerant Ad hoc Network in Disaster:DTAND)システムを開発している。現在、DTAND用シミュレータの開発を終え、シミュレーション結果をまとめ、有効性を評価した(論文投稿中)。現在、ホームサーバ(OpenBlocks)6台と携帯端末(Nexus7とウォークマン)10台で、DTANDシステムを構築中である。在宅情報の把握では、赤外線深度センサXTIONを用いて研究室の入退室状況を実験している。 シミュレーション実験の結果、30%以上の家庭に提案システムが導入されれば、近隣情報の95%以上をDTANDを介して得られることを示すことができた。このことから、提案システムは地震災害時の生埋め者救出に十分有用であると考える。 また、DTANDの応用範囲を拡大し、津波発生時の避難支援システムも開発している。このシステムは、混雑状況も考慮した最適な避難システムを携帯端末上に表示できるものである。 さらに、地震時の帰宅困難者を支援するために、携帯端末のGPS機能と携帯端末間の遅延耐性アドホックネットワークを用いて位置情報を携帯端末同士で共有し合い、リアルタイムで通行可能な道路地図を作成するシステムを開発し、ネットワークシミュレータNS-2を利用したシミュレーションにより、システムの有効性を評価している(論文投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進んでいる。 特に、コンピュータシミュレーション実験に関しては、自前のシュミレータだけでなく、ネットワークトラフィックを評価するため、NS-2やOMNeT++の導入も検討している。これらを導入すれば多角的な評価が可能になると考えている。 しかし、システム構築の点で若干遅れが生じている。今後、システム構築に重点を置き、構築されたシステムでの実機実験を行う必要がある。特に、バッテリによる稼働時間の測定を行い、システムの省電力化を検討したい。 さらに、農村部や山間部での応用も検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の提案システムの構築、改良について、主なものは以下の5つである。1)シミュレーション実験、2)ネットワークトラフィックの輻輳、3)バッテリによる稼働時間、4)無線LANの到達距離、5)在宅情報の把握である。 さらに、その他の応用についても検討している。現在進めているものは、1)提案システムの構築と応用、2)津波避難への応用、3)帰宅困難者支援への応用の3点である。今後は、1)提案システムの平常時の利用方法、2)農村部や山間部での応用、3)提案システムの省電力化について検討していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の購入額が当初計画よりも少し安かったため。 昨年度でシステム構築用の備品は概ね揃ったので、今年度は、旅費(特に、海外旅費)、謝金、さらに研究成果投稿料に使う予定である。
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