スマートホームシステムのホームサーバを利用した、災害向け遅延耐性アドホックネットワーク(Delay Tolerant Ad hoc Network in Disaster:DTAND)システムを開発している。研究期間の3年間で、大きく分けて以下の3つのシステムを開発した。 1つめは、地震直後の生埋め被害者救出のためのシステムである。平常時から把握している在宅情報や地震発生後のホームサーバ稼働状況を基に、地震発生後に自動的に構築されるアドホックネットワークを使って救助要請マップを作成し、それを救援者が持っているスマートフォンなどの携帯端末で受信し、救助活動に利用する。本研究は、シミュレーションによりその有効性を評価した(電子情報通信学会英文論文誌2015年掲載)。 2つめは、地震発生時に問題となる帰宅困難者を支援するシステムである。携帯端末間で構築した遅延耐性アドホックネットワークを使い、帰宅困難者のGPSログから通行可能な道路地図を作成し、帰宅経路や、混雑場所、休憩所等の情報を掲示する。本研究は、まずシミュレーションによりその有効性を評価した(The Review of Socionetwork Strategies 2015年掲載)。現在、実機実験に向けてシステムを開発中である。 3つめは、DTANDの応用範囲を拡大し、津波発生時の避難支援システムである。津波避難者のGPSログから通行不能箇所を自動的に検出し、DTANDを使って他の避難者の携帯端末に送信する。2015年度には、関西大学千里山キャンパスにおいて実機実験を行い、その有効性を評価した(論文準備中)。 最終年度は主に2つめと3つめを中心に研究開発を進めた。
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