研究課題
基盤研究(C)
本研究では,大規模ネットワークにおけるコンテンツの蓄積と共有の円滑化を目的とし,情報の共有にハイブリッド型P2Pネットワークを用いて,各ネットワークノードに相当する計算機(ピア)の保持するコンテンツの種類がサーバにより管理できるとの仮定の下で,参照の需要に応じてコンテンツの複製を複数配置し,参照要求の発生位置や要求頻度に応じてそれらの複製の移転,削除,およびさらなる複製を行うための効率的な手法を求める.このとき,コンテンツを小さく分割して各ピアで分担して保持することは,各ピアのストレージの隙間を有効活用することにつながり,ネットワーク上に多様なコンテンツを保持するためには極めて有効である.また,コンテンツには更新が発生することを前提とすると,最新版のコンテンツを常にネットワーク上で提供できることは重要である.そこで初年度である25年度は,ピアのストレージの利用効率を考慮したコンテンツ分割と配置の手法を検討した. 具体的には,BitTorrentのようなコンテンツの小ブロックへの分割を前提とし,これを単位とした効率的配置手法を新たに考案している.例えば,コンテンツの各ブロックは,それを要求する頻度の高いピアとの距離や,各ピアのストレージの空き状況,およびストレージ内に既に格納されている他のコンテンツブロックの有用性などを考慮した上で,適切なピアを選択し,格納される必要がある.また,コンテンツ要求に効率的に対応するためには,格納されるピアは,互いに近隣に位置することが望ましいため,そのコンテンツの分散を統括するピアを中心としたある一定の管理範囲の中に位置するようにすることも重要である.コンテンツの要求に際しては,コンテンツ要求ピアに向けて,各ブロックが並列に送信され,要求ピア側でこれらを組み立て,ひとつのコンテンツとして利用することが考えられる.
2: おおむね順調に進展している
申請書に記述した計画に従って,今年度の検討事項について着実にアイデアをまとめている.また,調査や情報収集も予定通り行っており,研究の進捗に特に問題は発生していない.
2年目の26年度は,25年度で行った検討をもう少し継続した上で,さらに第二段階としてコンテンツによるバージョン管理に関する検討を行い,同系統のコンテンツに僅かな違いのある複数のバージョンが存在する場合にも,効率的にコンテンツの共有ができるような手法を確立する.
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Electrical Engineering in Japan
巻: vol. 185, Issue 3 ページ: 33-40