研究課題/領域番号 |
25330134
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
升本 眞二 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40173760)
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研究分担者 |
根本 達也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (10572555)
V. Raghavan 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (30291602)
野々垣 進 独立行政法人産業技術総合研究所, 研究員 (30568613)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地質情報 / 3次元地質モデル / 地理情報システム(GIS) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Web-GISによる3次元地質モデリングシステムを実用的なものに進化させ、信頼度を含めた高分解能3次元地質モデルの構築・発信を可能にすることである。本年度の主な成果を次に示す。これらの成果の一部は国内外の学会で発表した。 1.理論的な基礎の確立:地質モデルの信頼度の評価方法を地質境界面とモデル空間全体について引続き検討した。地質境界面については、カーネル密度推定法を拡張した信頼度の評価理論と算出手法を開発した。境界面の推定に用いられるデータには、面がその点を通る等式データとその点より上(あるいは下)を通る不等式データの2種類がある。等式データは不等式データに比べて面の推定結果に対する影響は大きい。また、面の形状変化が大きいところでは、多くのデータが必要であるが、個々のデータの影響範囲は小さい。これらからデータの種類によりカーネル関数の高さを変え、予想される面の形状の変化量に合わせてカーネル関数の幅を変えてデータ密度分布を求める。得られたデータ密度の値は曲面の推定に有効なデータの量を示し、密度分布の傾きはデータの散らばりの程度を示す。密度の値が高く、かつ、傾きの少ない領域が地質境界面の信頼度の高い領域となる。3次元モデル空間についても、カーネル密度推定法を拡張し、ボーリングデータの様な線と露頭の様な点の情報を取り扱うための理論・手法を検討した。 2.システム開発:システムの中で最も重要な地形・地質境界面推定法を中心に改良のための検討を進めた。不規則に分布するデータを十分に反映し、信頼度の高い面を得るために、領域を等間隔に分割した小領域をスプライン関数で表現する従来の手法を改良し、データ密度に合わせて領域の分割範囲を変化させる原理を考案した。また、本システムを活用してハノイ(ベトナム)の3次元地質モデルを構築するなど実用化に向けた研究も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実績の概要で示したように、昨年度の「今後の研究の推進方策」で示した本研究を進める中での重要な課題である次の点がおおむね計画通りに進んだ。 1.3次元地質モデルの信頼度を評価する理論・方法を確立するための成果として、地質境界面ではカーネル密度推定法の導入とその拡張により、地質学特有のデータの種類や面の形状を考慮した信頼度の評価が可能になった。また、モデル空間全体については、データ密度に関しては理論的な基礎を確立した。 2.3次元地質モデリングシステムに必要な、データ密度に対応した信頼度の高い地形・地質境界面の推定方法の基礎となる理論を確立し、これを用いた推定プログラムを開発中である。また、システム全体としては、実際の地域での活用など実用化に向けた成果が得られた。 これらの成果は、より詳細な検討(例えば、信頼度の評価におけるカーネル関数の高さや幅の重みの割合の決定方法など)が必要ではあるが、具体化に向けた準備はほぼできたものと考える。このことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成27年度は、とくに次の事項に重点をおいて、予定していた計画通りに研究を進める。 1.地質モデルの信頼度については、最初に3次元地質モデル空間全体を評価する方法を完成する。これにより予定していた地質境界面と3次元モデル空間の2通りのモデルの信頼度の評価方法が確立する。なお、可能ならば、モデル空間全体においても地質学特有の地質体の形状を考慮した評価方法を検討する。 2.システム開発については、最初にデータ密度に対応した地形・地質境界面の推定プログラムを完成する。また、これと従来の地質境界面推定法との推定結果の比較も行う。 これらの成果を全体システムに反映させ、最終的なシステムを再構築し、検証を行う。
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