研究課題/領域番号 |
25330146
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
石畑 宏明 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (90468885)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 可視化 / 通信ネットワーク / ネットワークトポロジ / ボリュームレンダリング |
研究実績の概要 |
本研究では,大規模並列コンピュータの通信ネットワーク上の通信状況を分かりやすく提示する可視化手法を開発する.通信ネットワークトポロジ上に通信の輻輳状況を関連付けて三次元表示する場合,数千ノード以上の大規模構成ではノードやリンクの表示が重なり,視点の奥側やネットワークトポロジの内側部分が判別できなくなる問題がある.本研究では,ネットワークの輻輳状況などの直接の生データから特徴を抽出し,通信パターンに対応した輻輳状況のエッセンスのみを表示する技術,三次元空間中に連続分布する値の表示技術であるボリュームレンダリング技術を,三次元表示した通信ネットワークのトポロジ上にマッピングしたデータの表示に適用する方法,を開発しこれを解決する. 今年度は,ネットワークから抽出した通信状況のデータを統計処理し表示する部分を開発した.まず,既存のソフトを用いてネットワーク中の全てのスイッチの統計情報(各ポートの受信データ量,送信データ量,通信待ち時間)を計測する.取得したログから「X 軸方向とY 軸方向と交互に通信している」のように,観測している通信パターンを抽出するものである.今回は,この特徴抽出にkmeans法を用いた.実機やネットワークシミュレータから得られた,各スイッチのポートごとの通信状況をクラスタリングし,それぞれのクラスタに適当に着色して表示することにより,通信パターンの変化を直感的にとらえることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
並列計算機およびネットワークシミュレータから取り出した大量のログデータ中の興味ある部分を整理して表示するために,まず伝統的な統計処理技術を適用してみた.kmeans法を用いて,通信ネットワーク中の各スイッチの送信データのパターン(例えば2次元メッシュネットワークならば,横方向が通信量が多く縦方向が少ない)の抽出を試みた.隣接通信などの規則正しい通信パターンでは正しく各スイッチの通信パターンを分離することができた.kmeans法は,分類するクラスタの初期値の与え方や分類するクラスタ数でクラスタリングの結果が大きく異なる.自動的にクラスタ数や初期値を設定する機能が必要となる.今後,全対全通信などのより複雑な通信パターンに適用し改善する.
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今後の研究の推進方策 |
ネットワーク中の各スイッチの通信パターンを分類し,分類されたクラスタごとに色づけして三次元的に表示することによりスイッチの振る舞い,通信全体の振る舞いを視覚的に理解できるようにする.今後kmeans法の出力結果をボリュームレンダリングで表示するプログラムの開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品 27インチ iMac Retina 5k モデルの価格が予定していたよりも安価だったため.
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画では,150,000円であった物品費を216,310円とし,パソコンMacBook 13インチ 2.0GHz/8GB/512GB(189,000円)を2台購入する.1回の海外出張(国際会議SC2014)と1回の国内出張の旅費として490,000円,人件費・謝金として100,000円,その他消耗品で,60,000円を使用する予定である.
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