実世界における人や物の行動や環境などの情報を携帯端末やセンサーにより収集し、実世界の状況を分析し、自律的に利用者に対してサービスを提供するようなコンピューティング環境の構築には、サービス利用者からパーソナル情報を提供してもらわなければならない。サイバー空間に蓄積されるパーソナル情報を活用した新たなサービスの出現による市場の創出が期待される中で、利用者の個人情報の悪用などに対する不安や、プライバシーが侵害されることに対する懸念が高まってきている。 本研究では、利用者が安心してパーソナル情報を提供するために、次の二つの研究項目、1)利用者主導で開示先制御ができるデータ共有方式の開発と、2)データ共有プラットフォームに対する安心感の要因の分析を設定している。 前者の研究項目に対して、パーソナル情報を利用可能なサービス提供者は利用者が直接決めることができ、かつサービス提供者の追加・削除が容易で、利用者を分散型で管理できるデータ共有方式を設計した。そのデータ共有方式について証明可能安全性の枠組みにおいて安全性について評価をした。後者の研究項目に対して、利用者とサービス提供者の安心感のギャップを解消すること、すなわち、利用者の心理面を考慮して安心して使えるシステムを構築・運用するのに必要な安心感の要因について、クラウドに蓄積したデータを利用するという観点から心理学的な手法による分析で明らかにするための質問紙による調査を行った。
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