研究課題/領域番号 |
25330153
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中西 透 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50304332)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認証 / プライバシー / 匿名 / 失効 / 不正者排除 / ペアリング / 属性認証 |
研究実績の概要 |
現在一般的なIDによる認証では,認証サーバに「誰がアクセスしたのか」というアクセス履歴が残ることになり,誰がどこで何をしていたということが追跡可能であることから,プライバシ問題を引き起こす恐れがある.このような問題に対して,グループ署名と呼ばれる匿名認証技術により,サーバはユーザ名を知ることなく正規ユーザであることを認証でき,ユーザプライバシを保護できる.本研究では,モバイル環境における実用的な匿名認証を実現するために,効率的なユーザ失効,効率的な匿名不正者排除の構築・実装を目的としている. H25年度に提案した失効可能グループ署名方式では,認証時間,秘密鍵・公開鍵・認証データサイズがユーザ総数や失効数に対してログオーダーもしくは定数オーダーであり,かつ失効リストサイズを従来方式よりも大きく低減している.この方式はアキュームレータを用いて構築されていた.H26年度は,同じように失効リストを圧縮するアプローチをベクターコミットメントと呼ばれる方式を用いても実現でき,よりシンプルに構成できることを示した.その評価はH27年度の課題である. 匿名ユーザが不正した場合に,グループ署名では第三者機関が匿名性を解除して不正者を特定するため匿名性が弱い.一方,従来,ブラックリストを用いることにより,第三者機関を仮定しない方式が提案されているが,ブラックリストサイズに比例したべき乗算計算を必要とするため効率が悪い.H26年度の研究では,アキュームレータを用いることにより,その計算時間を軽減した方式についても,準備的構築を行なった. また,補助的な研究として,属性匿名認証についてもアキュームレータによる効率化を行ない,属性のモノトーン式を証明可能な方式の提案を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的であるモバイル環境での匿名認証の効率的なユーザ失効については,国際会議ICISC2013で論文が採択されており,さらにその方式からの改善も行なっている.また,もう一つの主題である,ブラックリスト型の不正者排除可能な匿名認証についても,従来方式からの改善の目処が立っており,本研究は順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
ベクターコミットメントを利用した失効法の評価を行ない,効率的な失効方法の実現を目指す.また,ブラックリスト型の匿名不正者排除方法についても,方式の確立を行ない,実装をベースとした評価によりその有効性を示す.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議ICCE-TW2015に,アキュームレータ処理の高速化についての研究で投稿・採択されており,次年度で出張旅費などが必要なため.
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議の渡航費などに使用する.
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