研究課題/領域番号 |
25330158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
蓑原 隆 拓殖大学, 工学部, 教授 (80239334)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アドホックネットワーク / ワームホール攻撃 / 位置情報改竄 / 複数経路設定 |
研究概要 |
モバイルアドホックネットワークに対するワームホール攻撃を伝搬経路の物理的な距離と中継回数の矛盾を調べることによって検出する方法について検討を行った.具体的には,攻撃ノードによる位置情報の改竄に対策として複数の経路による情報伝達が必要なため,パケットロスなどに対する信頼性の向上やスループットの向上を目的とした既存の複数経路設定手法について,ワームホール攻撃が存在するときの挙動について検討を行った. 位置情報の改竄の検出については,複数経路で伝搬される情報の一方にのみ改竄が行われ,情報の不一致が起こることを想定していたが,シミュレーションによる検討の結果として,ノードの移動により位置情報が変化したときに,経路による伝搬時間の違いから改竄が無い場合でも不一致が発生することが明らかになった. 一方,複数経路設定のための経路情報は冗長な伝搬が行なわれることから,ワームホールを往復通過するものがあり,ワームホールの復路で改竄を元に戻さない場合には往復した情報の不一致を検出できることが判った.そこで,当初の計画にある複数経路による情報の不一致に加えて,隣接ノード間を往復する情報の不一致による検出についても検討を開始した. 一方,位置情報の改竄が行われていない場合については,無線通信可能な領域と位置情報の矛盾によって攻撃を検出 することを想定しているが,これまで対象としてきた同心円状の通信可能領域は,屋内など障害物が多い環境と整合しないという問題があった.そこで,無線通信によるアドホックネットワークの実環境として無線センサーネットワークに対してワームホール攻撃を行い,通信経路の選択にどのような影響が現れるかの観測を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数経路設定によるワームホール攻撃の検出について検討した結果,位置情報が改竄されたときの不一致の検出について,情報の同期の必要性という問題が明らかになったが,ワームホール上を往復する情報による新たな検出方法が判明したという点で,検出方法の検討については,おおむね順調に進んでいると考えられる. 一方,検出率などの定量的な評価については,通信可能領域の設定などの問題があり,十分な量のデータが得られておらず,当初の計画よりもやあ遅れていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
攻撃検出方法の検討結果を順次シミュレータに実装し,引き続き検出能力の評価を行っていく.定量的な評価を進めるために必要な量のシミュレーション結果を得るために,シミュレーション環境の増強を行い,複数のシミュレーションを平行して進める.また,当初の計画にあるように攻撃チームによる攻撃方法の検討も開始する.実装環境については,昨年度利用した無線センサーネットワーク機器を引き続き利用するとともに,Android端末によるモバイルアドホックネットワーク環境の構築を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では,攻撃検出率などの定量的な評価を行うにあたって複数のシミュレーションを並列に行うことを想定して,シミュレーターソフトウェアのライセンス料を計上していたが,シミュレーションのパラメータについての検討を進めながらシミュレーションを行なったため,複数のライセンスを必要とせず,すでに取得しているライセンスの範囲内で実験を行なったために,次年度使用額が生じた. シミュレーションソフトウェアのライセンスは年度更新であり,これまでに使用してきたライセンスの更新および,複数のシミュレーションを平行して行うための追加ライセンスの取得に経費を使用する.また,ソフトウェアの供給元のライセンス料の改訂により,当初計画よりも次年度の費用が増えるため,今回生じた次年度使用額をその経費に充てる.また,当初計画通り実機環境構築のための移動端末の購入および,対外発表のために経費を使用する.
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